「30歳の不安」をどう乗り越えた?転職者に学ぶ“身の振り方”ケーススタディ


転職の際に頼りになるのが人材紹介会社。転職の相談に来るエンジニアの年齢をみても、30歳前後が一番多いという。その理由についてキャリアデザインセンターの酒井康弘氏はこう分析する。

「ちょうど今、30歳前後に相当する年齢の方々というのは、新卒の時期がITバブルと重なっていた。とにかくIT関連の仕事に就けば食いっぱぐれがないといったイメージが先行していたんです」

そうした潮流のなか、たまたま内定を獲得した企業に軽い動機で就職した人たちが、30歳を節目にキャリアプランを再考するといったところか。

相談に来るエンジニアの不安の内容を、アイ・アムの稲田敦司氏はこう語る。

「いちばん多いのは、『業界全体に対する不信感』ですね。オフショアの浸透や大手IT企業の不祥事、業績の伸び悩みなどから、ITエンジニアという仕事に就いていること自体に危機感を持っている、あるいは先の見通しが立たないというケースが多い。それに加えて30歳ともなれば、結婚や子供の教育といった生活スタイルにも変化がでてきます。年収を下げるわけにはいかないというプレッシャーから、思い切ったアクションを起こしにくいという方も多いですね」

転職の際、業務経験が問われる比重が20代に比べて高い30代にさしかかった年代だからこそ、未経験分野への転職など思い切った決断には腰が重くなりがち。しかし30歳の転職の可能性について、ワークポートの中野晶氏はこう話す。

「まったくの異業界に転職するにはハードルが高い年齢ですが、同じ業界内で職種や扱う技術が変わるといったレベルの転職であれば30歳はまさに旬。社会人としての一般的なビジネススキルに加えて、コンピュータ業界の現場で一定レベル以上の技術力を培った方であれば企業側でもノドから手が出るほど欲しい人材です。ですから、自分が業界内でどれだけ通用するのか、自分の値段はいくらなのかを知る意味で、人材コンサルタントに相談する価値があるといえますね」

不安を解消する秘訣は、思い込みや先入観で決めつけない点にありそうだ。


 

 



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