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「……で?」と言われがちな人必見!『一番伝わる説明の順番』とは

プレゼン、進捗報告、決裁申請などのシーンで「結局、何が言いたいの?」などと言われた経験がある人におすすめの一冊。物事を説明して理解してもらうことは、ビジネスの基本であるが意外と難しいもの。本書を読んで、「何をどの順番で話すか」を身に付け、説明力を劇的に向上させよう!

一番伝わる説明の順番

タイトル:一番伝わる説明の順番

著者:田中 耕比古

ページ数:256ページ

出版社:フォレスト出版

定価:1,512円

出版日:2018年6月17日

Book Review

一生懸命説明したあとに、「結局、何が言いたいの?」などと言われたことはないだろうか。プレゼンテーション、進捗報告、決裁申請など、仕事で説明する機会はたくさんあるし、物事を説明して理解してもらうことは、ビジネスの基本だ。日常生活ならまだしも、ビジネスにおいては、説明が下手なことは致命的な問題になりかねない。「伝わらない説明」をしていると、あなた自身の評価や仕事の質にも悪影響を与えてしまう。
本書では、「説明はコミュニケーション(情報伝達)である」ということをカギに、伝わる説明のコツを解説している。著者・田中耕比古氏によると、「何をどの順番で話すか」を意識するだけで、説明力を劇的に上げることができるという。ビジネス書ではしばしば「どう伝えるか」が取り上げられているが、それ以上に「情報を伝える順番」が物を言うのだ。
説明が苦手な方はぜひ、本書を手に取って読んでいただきたい。説明の順番をマスターすれば、説明力を劇的に上げることができるだろう。またプレゼンや調査報告の準備を行う上でも、「説明の順番」を参考にすることで、押さえるべきポイントを掴むことができ、準備をスムーズに進めることができるだろう。あなたの印象のみならず、仕事の成果も大きく好転するはずだ。

説明が下手な人は、何が間違っているのか

説明が上手な人、下手な人

説明が上手な人、下手な人

説明が上手な人もいれば、下手な人もいる。説明が下手な人の話を聞いても、結局何が言いたいのかよくわからないことがあるだろう。一方、説明が上手な人の話を聞くと、今までわからなかった事柄が理解できたりする。この違いはなんなのだろうか。
「頭がいい人は説明がうまい」と言われることもある。では、大学教授はどうか。大学教授は頭がいいに違いないが、その講義が退屈で眠気を誘うものだったり、内容が頭に入ってこなかったりする場合もある。つまり、頭がいい人が必ずしも説明が上手だとは限らない。

残念な説明の特徴

では、説明が下手な人は何を間違えているのか。その特徴は3つある。
1つ目は、考えた順番で説明してしまっていること。「考えた順番」と「説明する順番」は違うということを肝に銘じよう。「自分の考えた順番」ではなく、「相手が聞きたい順番」で話すようにする。
2つ目は、相手の理解度を意識していないこと。テレビのニュースなどで、専門家が登場して解説することがある。多くの場合、一般人にとって、その説明は難解でわかりにくい。それは、聞き手のレベルに合わせた説明ができていないからだ。「専門外」の人たちと話すときには、相手がどの程度の前提知識を持っているのか、またどの程度の詳細さで物事を理解したいのかを知っておく必要がある。相手と言葉を交わしたり、相手の様子をうかがったりして、相手に応じて伝わる言葉や例を用いて話すようにしよう。
3つ目は、言いたいことがわかっていないこと。自分が何を言いたいのか、どのようにしたら伝わるのかを整理できていない。伝えたい内容を紙に書き出すなどして、考えをまとめあげよう。
残念な説明をしてしまう人は、あまり深く考えず、「なんとなく説明したつもりになっている」という共通点がある。そんな人に取り組んでほしいのが、先ほど紹介した「3つの残念な説明」をひっくり返すことだ。つまり、(1)何をどの順番で説明するのか意識する、(2)説明する相手の理解レベルを意識する、(3)何を言いたいのか決めてから話すの3つを心がけるのが効果的だ。

わかりやすい説明の順番

相手の思考を想像する

説明とは「コミュニケーション」である。説明というと一方通行のものをイメージするかもしれないが、説明が上手な人ほど、相手とうまくコミュニケーションを取りながら進めている。何も言葉を交わしたり、質問のやりとりをしたりすることだけでない。「この表現だとわかってもらえないかもしれない」「別の例を使ったほうがいいかもしれない」など、相手を観察し、相手の思考を想像してそれに柔軟に対応しつつ話すことが重要だ。
なお、柔軟な対応は必要だが、伝えるべき内容からブレないように気をつけよう。あくまで説明の目的は、相手に情報を伝え、理解してもらうことだ。

「自分主導の説明」と「相手主導の説明」の違い

説明の順番には、基本のパターンがある。これを押さえておけば何も難しいことはない。
説明の順番を解説する前に、知っておくべきポイントがある。それは、説明には2種類あるということだ。それは「自分主導の説明」と「相手主導の説明」である。
「自分主導の説明」とは、自分の主張や結論を伝えることを目的として行う、能動的な説明のことだ。自分から相手に説明する場合や、仕事の上での商品説明やプレゼンテーションも「自分主導の説明」に該当する。「ゼロから組み立てる説明」とも言い換えられる。
「相手主導の説明」とは、相手から説明を求められた場合に行う、受動的な説明のことだ。「この商品が売れなかった原因はなんだ?」「夕焼けはどうして赤いのですか?」などの質問がこれにあたる。つまり、「問いに答える説明」だ。

(1)前提をそろえる

ここから、「自分主導の説明」における基本の順番を具体的に紹介しよう。基本の順番は5つの段階に分けられる。(1)前提をそろえる、(2)結論・主張・本質、(3)根拠・理由・事実、(4)補足情報、(5)結論・相手に促したいアクションだ。
まず「前提をそろえる」だ。よく「結論から話せ」と言われるが、それよりも先に前提をそろえよう。前提とは、これから話す内容について、相手がどの程度の知識を持っているかということだ。
相手の知らないことを話すときや、過去に話したことはあるけれどその内容を覚えていなさそうな場合には、前提情報を共有しよう。たとえば新任の上司に対して自分の顧客の話をするとき、過去の経緯や取引履歴を簡単に説明し、相手と自分の知識レベルをそろえる必要があるだろう。
さらには、相手の理解度に合わせて説明のレベルを調節することも重要だ。ほかの業界の人や、はじめて打ち合わせに参加する人に向けて説明するときには、言葉の難易度や専門性をそろえて話すようにする。具体的には、小・中学生に説明するくらいのつもりで話すのがおすすめだ。「相手がわかっていない」という前提にたって言葉を選び、何をどの順番で伝えるかを考えよう。
加えて、「話の範囲」をそろえることも意識したい。目的は、限られた時間の中で、最適な情報量で伝えることだ。「あなたが知りたい内容のうち、今日はこの部分だけをお話しします」とあらかじめ伝えれば、相手の期待値を調整できる。打ち合わせの時間が短すぎる場合や取り扱う情報量が多すぎるとき、喫緊の課題のみに集中したいときなどに有効である。

(2)結論・主張・本質

2つ目は、「結論・主張・本質」だ。結論とは、あなたが伝えたいこと、説明したいことをまず一言で伝えることを指す。相手が大まかに全体像を把握しているときなど、話の前提がそろっている場合には、ここからスタートしよう。たとえば「X社への提案は、失敗に終わりました」という結論があったとする。これは、X社に対してどういう提案をしていたかという経緯を理解している人にのみ有効だ。前提がそろっていないなら、きちんと共有してから結論を述べよう。
聞き手になんらかのアクションを求める場合には、先に「期待する行動」を主張しておくとスムーズだ。「この提案をこの場で承認していただきたい」「改善すべき点をアドバイスしてほしい」などの要望は、あらかじめ伝えておこう。そうすれば相手は、どういう意識で話を聞けばよいのかわかる。これを省略すると、すべて話し終わったあとに「もう一回、説明して」などと言われることになりかねない。
本質とは「その事象をうまく表した一言」のことだ。あなたの考える「解釈」とも言える。「要するに~」「つまり~」などといったふうに、一言に要約できる。自分が飲んでいるサプリについて説明するなら、「このサプリは、肝機能を改善する」などと要約するかもしれない。自分の考えを伝え、それを説明していく流れを作るわけだ。

(3)根拠・理由・事実

前提をそろえ、結論や主張を伝えたら「根拠・理由・事実」を伝える。根拠や理由を伝えるときのポイントは、(1)これから理由を伝えることを示す、(2)理由をできれば3つに絞る、(3)理由や根拠は客観的事実で構築するの3つだ。
自分の主張や結論がある場合、まず「これから理由を伝えますよ」ということを伝えよう。「今回の企画開発についてお話しさせていただきます。この企画を実行することで、今季の売上げ目標を達成できます。その理由は3つあります。それは──」という流れだ。結論・主張を伝えたあと、それを支える根拠を3つにまとめよう。
結論や主張がない説明の場合、前項で紹介した「本質」を伝えることになる。商品の機能説明や新商品の開発計画の説明といったケースがこれにあたるだろう。
自分の解釈を伝えるにあたっては、客観的事実で述べることを意識したい。主観に基づいた説明だけでは、相手からは「うーん、そうかなあ?」といった反応が返ってくることになるだろう。数字やデータを活用し、客観的事実に基づいたロジカルな説明になるように心がけよう。

(4)補足情報

次に、補足情報を伝える。これは、経緯や根拠にいたった背景、伝えなくても大きな問題がない話題だ。「根拠の根拠」や「根拠を補足する背景」ともいえよう。誰かを説得したりプレゼンを通したりするときには必要な情報だが、日常会話では省いたほうがいいかもしれない。

(5)結論・相手に促したいアクション

最後に、結論・相手に促したいアクションを伝える。冒頭ですでに結論や主張を伝えているので、不要だと考えるかもしれない。しかし、結論以降の根拠や補足情報の説明が長くなればなるほど、聞いている側は話の出口を見失いがちだ。「結局、どういうことだったの?」「言いたいことってなんだっけ?」と思わせないよう、最後にもう一度、結論や主張を伝えるようにする。
また購入の決断や決裁判断など、相手に求めるアクションがある場合も、最後に改めて伝える。

相手主導の説明の3つのポイント

ここまで、自分主導の説明について解説してきた。では、相手主導の場合はどうか。相手主導の説明の場合、急な質問に対してとっさに答えなければならず、順番の構築などが難しいことも多い。だが次の3つのポイントを押さえておけば問題ないだろう。
1つ目が、大きいポイント(幹)から小さいポイント(枝葉)の順番で説明すること。たとえば、会社全体の営業成績を説明してから個別の部署の成績を伝えると、話の全体構造がわかりやすい。
2つ目が、相手が知りたいのはあなたの解釈か事実かを見極め、相手が聞きたいほうから話すこと。ここでも、「相手が求めているものは何か?」を考える必要がある。あなたの意見が求められているのであれば、意見から伝えよう。その次に、その意見を支える理由を述べる。
3つ目が、事実を話す際には、客観的なものを選択すること。上司に「今期の売上げは達成できそうか」という質問をされたなら、「私はこう思います」と意見を述べたあと、客観的な事実を加えるのがよい。

一読の薦め

本要約では書籍タイトルのとおり、説明上手になるための「一番伝わる説明の順番」を中心にまとめた。さらに本書では、自分の思考と相手の思考を整理するコツ、印象に残る伝え方のコツ、そして説明力を磨く思考習慣とトレーニングが紹介されており、盛りだくさんだ。本書を手に取って説明のコツを理解し、トレーニングを実践すれば、説明力をさらに高めることができるだろう。

※当記事は株式会社フライヤーから提供されています。
copyright © 2019 flier Inc. All rights reserved.

著者紹介

  • 田中 耕比古(たなか たがひこ)

    株式会社ギックス取締役 CMSO(Chief Marketing & Strategy Officer)。
    2000年、関西学院大学総合政策学部卒業。アクセンチュア株式会社、日本IBM株式会社を経て、2012年より現職。
    「考える総量の最大化」をビジョンに掲げ、製造、金融、医薬、通信、流通・小売などの多様な業界の、事業戦略立案からSCM改革、業務改革、人材育成にいたるまで幅広い領域で、“思考支援 ”型のコンサルティングに従事。
    著書に『数字力×EXCELで最強のビジネスマンになる本』『論理思考×PowerPointで企画を作り出す本』(ともに翔泳社)、『デキる人が「当たり前」に身に着けている! 仕事の基礎力』(すばる舎)がある

  • flier

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「結局、何が言いたいの?」と言われがちな人必見!『一番伝わる説明の順番』を覚えよう
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