転職面接のありがちNG、本当にやるべき対策はコレ!
転職活動で、合否を左右するポイントの一つとなる「面接」。本番でうまく答えられず、あたふたしてしまった……という経験がある人は多いでしょう。そこで、面接で起こりがちな失敗を未然に防ぐため、事前にしておくべき対策を転職の専門家に教えてもらいました。
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面接対策の本質は「自分の強み」を明確にすること
具体的なエピソードを用意しておけば一貫性が出る
転職活動の面接対策というとどうしても「想定質問集」や「NG回答例」などテクニックに頼りたくなってしまうもの。しかし、採用側として多くの面接を行ってきた西澤靖夫さんによれば、「付け焼刃の回答はすぐに見抜かれる」とのこと。採用につながるポイントはむしろシンプルに「堂々としていること」なんだとか。
「自分に自信を持って堂々としているだけで、相手に頼もしい人だという印象を与えます。面接で一番大事なのは“自信を持つこと”なのです。そのためには、自分の強みを自分自身がしっかりと理解していることが大事。転職活動を始める前に自分の強みを整理し、3~5つほどに絞り込んでおくと良いでしょう。その強みをエピソードで伝えるために、これまでの職務内容や実績を振り返り、その事例を軸にして答えていくと話に一貫性が出ます。面接はセルフプロモーションの場なので、人とは違ういいところを分かってもらうための準備が必須です」(西澤さん・以下同)
西澤さんはさらに、「面接対策は職務経歴書を作成する時から始まっている」と言います。
記載することのすべてが自己PRになると思って、明確にした強みや事例を職務経歴書の中に散りばめることで、ただ職歴をなぞっただけの書類ではなく、面接でのアピールにつながる材料となるのです。
「職務経歴書に書いた内容と同じことを面接で話せば、軸がブレにくくなります。想定質問に備えた回答の練習はいいことですが、質問ごとに回答を考えると一貫性がなくなりやすい。強みをベースにした上で回答を考えましょう。また、強みは人によって異なるので、当然回答も変わります。面接において、誰もが使える模範解答はないと考えましょう」
今回取り上げる失敗例も、上記の前提を押さえていれば起こさずに済むものばかり。自分でこんな悲劇を起こす前に、本当にやるべき事前準備をしっかりチェックしてくださいね。
ありがちNG例面接当日、話す内容をいろいろと考えていたのに緊張でうまくしゃべれなかった…
面接の場に慣れていなかったために、当日気負いすぎてしまい、話す内容を準備していた自己紹介や志望動機のセリフが飛んでしまいました。こんなに緊張してしまうなんて、自分でも想定外でした。
想定回答を何度も口に出して自然に話せるようにしよう
面接では“うまく”話せなくてもいい!緊張してしまうのは、うまくしゃべろうとするから。面接官は流ちょうなトークを求めていないので、“うまく”は取っ払いましょう。言葉のうまさではなく、実直に思いを伝える姿勢を見られています。また、模範解答を丸暗記して、一字一句間違えずに話そうとすると言葉は不自然になり、面接官の心にも響きません。
面接のポイントは、自分の言葉で自分の強みを伝えることです。そのためには、想定質問への回答を何度もしゃべって練習することが大事。自分の強みや具体的な事例をキーワードにしながら話を組み立てる練習を行うと、自分の言葉として伝えられるようになります。事前に話し慣れておくことで、本番でも知人に話すように自然と言葉が出てくるでしょう。
回答をしゃべって練習する時は、面接官と自分の1人2役で声に出してやるのがおすすめ。質問を受けてから答えるまでの、ちょうどいい“間”を体感することができます。質問されたら、「はい」と返事してから話し始めることで、リズムをつかみやすくなりますよ。
ありがちNG例志望動機について深く質問されたとたん、しどろもどろになってしまい、うまく答えられなかった
受ける企業に合わせた志望動機を考えていったつもりが、「なぜ当社を選んだのですか?」「同じ仕事は他社でもできるのでは?」と質問を重ねられると、答えに詰まってしまい、自分でもよく分からなくなってしまいました。
魅力に感じている部分を整理しよう
志望動機は受ける企業の“良さ”を語ること志望動機は「なぜその企業に入りたいと思ったか」を伝えるもの。そのポイントが明確になっていないと、回答に一貫性がなくなってしまいます。業務内容や職場環境で好感を抱いている部分が他社にはないものだと、面接官に思いが伝わりやすくなります。その会社ならではのものでなければ、「他社でもいいんじゃない?」と思われてしまっても仕方ありません。
一社ごとに研究を行う際には、受ける企業の製品・サービスと自分の考え方との接点を考えてみましょう。「顧客を第一に考えたサービス内容に共感する」「従業員の意見が採用されやすい風土に魅かれる」など、魅力を感じている部分に気づきやすくなります。企業の良さが見えていれば、どんな質問を投げられてもブレずに答えられるはずです。
「御社の業務内容なら、私の培ってきたスキルを生かせるからです」と自分の話に終始するのはNG。自分のいいところではなく、自分のフィルターを通して見えた企業の良さを、話す場面だと考えましょう。
ありがちNG例転職理由について、考えていたことを話したのに面接官と会話が噛み合わなかった。
ネガティブな退職理由はポジティブな転職理由に変換して伝えるのがセオリーだと聞いていたので、それっぽい質問には全て「御社の事業に魅かれたから」と回答。でも、何度も聞き返されてしまい、納得してもらえなかったみたいです。
3つが混同していると回答が曖昧になりがち
退職理由・転職理由・志望動機は別物!退職理由はネガティブなものが多く、端的に話しづらいため、ポジティブな志望動機と混同させがちです。また、転職理由と志望動機が、こんがらがってしまう人も多いです。ただし、そのままでは質問と回答がちぐはぐで、面接官に「理解力がない人だ」と思われてしまいます。
面接を受ける前に、退職理由・転職理由・志望動機、それぞれを明確にしましょう。例えば「スキルが活かせる職場にいきたい」ということを退職理由・転職理由・志望動機に分解すると、退職理由は「持っているスキルと配属先がマッチしていなかったから」、転職理由は「自分のスキルをより生かせる職場で働きたいから」、志望動機は「個々のスキルを最大限生かそうとしている職場環境に感銘を受けたから」というように、異なる要素だということに気付くはず。
部分的に重なる場合もありますが、3つがまったく同じということはありえません。特に、一度退職し、時間を置いてから転職活動を開始した人は、退職理由と転職理由が異なるはずです。
退職したから転職するのか、転職を考えたから退職を決めたのか、時系列を意識して振り返ることも重要。話に一貫性を持たせるための要素となります。
ありがちNG例サービス・製品の使用感を聞かれたが、使ったことがなかったので、うまく説明できなかった…。
面接官に「当社の製品やサービスについて知っていましたか?」と聞かれたのですが、まったく触れたことがなかったため、「知りませんでした」と正直に答えるしかなく、面接官も困惑した感じでした。
ユーザー目線、作り手目線、売り手目線、など意見は必ず用意して
製品情報のインプットは最低限のマナー!受ける企業の製品やサービス内容を知らない状態で、面接に挑むのは論外。「知りませんでした」と答えたら、不採用はほぼ確実です。応募する企業の情報を事前に調べることは“礼儀”と考え、負担がかからない範囲で購入できる金額のものは、実際に使用してみるとよいでしょう。誠意がない人に対して、一緒に仕事したいと感じる人はいません。
製品やサービスを利用した上で、自分なりの意見を持てるとベスト。営業目線で競合他社の製品と比較してもいいですし、エンジニアとして改善案を考えてみるのもいいでしょう。もちろん、いちユーザーとしてどこに魅力を感じたかでも問題ありません。本当に入りたい企業であれば、自然と売り物に対する意見が出てくるはずです。
ちなみに、答えられなかったにも関わらず採用されたら、その企業は深刻な人手不足の可能性が高いです。ブラック企業の恐れもあるので要注意。
ありがちNG例「あなたの強みを教えてください」と聞かれなかったため自己アピールができなかった…。
面接官に「当社の製品やサービスについて知っていましたか?」と聞かれたのですが、まったく触れたことがなかったため、「知りませんでした」と正直に答えるしかなく、面接官も困惑した感じでした。
強みにつながる事例を話し慣れておこう
面接は時間内すべてが自己PRの場!面接は最初から最後まですべてが、自己PRの場だと認識しましょう。よくある「一問一答」形式で面接対策していると、陥りやすい失敗です。質問のされ方は一通りではありません。たとえ「あなたの強みを教えてください」と聞かれなかったとしても、別の質問に対する回答で十分にアピールできるよう、準備しておくことが大事です。
その第一歩が、自分の強みを3~5つ程度に絞り込んでおくこと。そして、強みに関連する実績を用意しておくことです。あらかじめ強みや実績をキーワードとして頭にインプットしていれば、面接の場でも言葉にしやすくなるでしょう。
また、面接を受ける前に、強みにつながる実績や経験などの事例を、何度も口に出して反復することも有効です。話し慣れておくと、面接本番でどんな質問が来ても、アピールにつながる事例を交えて話せるようになります。
ちなみに、口に出すことでまとまった具体的な事例や実績は、職務経歴書にも記載しておきましょう。面接官が目を通した時点で、自分のアピールにつなげることができます。
ありがちNG例理想のキャリアパスを自信をもって語った。しかし…なぜか微妙な雰囲気になった。
将来のビジョンを聞かれたから、「入社後はバリバリ活躍したいです!」と熱意をアピールしたけど、面接官のリアクションはなぜかイマイチ。もっと細かくキャリアパスの計画を語ったほうが良かったのかな?
見られているのは、自分の将来に対する姿勢
重要なことはキャリアパスの内容ではない!中途採用の面接で、年齢が高い応募者や職種によってはキャリアパスについて聞かれることはあまりありませんが、20代での転職だと聞かれるケースもあります。面接官がキャリアパスを聞く意図は、将来の計画を立てて、それに向かって進むことができる人物かどうかを見たいから。そのため、内容に関係なく、パッと答えられることが大事です。「何も考えていません」は当然NG。
現在の転職活動が、理想とするキャリアパスに近づくための行動として、理に適っているとなお良しです。その企業に入ることが自分の将来にどう影響するか、考えるといいでしょう。
ただし、企業側が期待している入社後の成長イメージを理解しているかを確認する意味が込められている場合もあります。求人情報内に書かれていることもありますが、見逃していた場合はその場で回答を組み立てることは難しいので、自分の考えをブレさせないことを優先しましょう。
企業側が求める成長の方向性と自分のビジョンがどうしても合致しない場合、そこへの転職はあまりおすすめしません。それでも入社したいと思うのであれば、「まずは御社の仕事の進め方、職場の環境に慣れ、数年以内に指導していただいた方と同等以上のレベルに到達したいと考えています」くらいの姿勢に抑えて、伝えてみましょう。
ありがちNG例面接官は現場の人かと思いきや、いきなり社長が現れてパニック!
一次面接だったので気楽に行ったら、まさかの社長登場! 一般的には人事や現場社員が一次面接で、社長は最終面接ですよね? 思いがけない事態への焦りと社長の放つオーラに気圧されて、何をしゃべったか覚えていません。
自信を持って望んでいれば、社長登場はむしろラッキー
常に“最終面接”と考えて受けるべし誰が面接官として出てくるかは、事前にわからない場合がほとんどなので、常に最終面接のつもりで臨みましょう。あらかじめ「二次面接があります」とアナウンスされていても、実際には一次面接だけで決まるケースもあります。とにかく油断しないこと。
そして、どんな状況でも堂々としているためには、アピールしたい自分の強みや企業の良さとリンクした志望動機を、面接を受ける前に明確にしておくことが必須です。自分を売り込むために伝えるべきことがわかっていれば、相手が変わっても臆せず対応できるでしょう。
むしろ、社長や取締役、本部長など、採用に強い権限を持った人が現れた時に「ラッキー」と思えるはず。企業や現場のトップに気に入られれば、即座に採用につながる可能性が大きいからです。
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