昨年末、民主党から自民党へ政権が変わりました。その影響から円安傾向となり株価も上昇。景気がよくなるのではないかという期待感が漂ってきました。それと同時に、政府はいろいろな場面で規制を緩和しようと『規制改革会議』を開催しています。その中で、我々ビジネスパーソンに大きな影響を与えそうな議題が取り扱われていることはご存知でしょうか?
『解雇規制』の規制緩和が大きな議論に!
規制改革会議で主な議題に上がっているのは医療の分野、エネルギーの分野、そして雇用の分野です(毎日新聞2013年2月16日付)。雇用の分野では『解雇規制』に関する議論が繰り広げられています。
日本の企業が正社員を解雇することは非常に難しくなっています。過去の裁判では、企業の業績の悪化から解雇せざるを得なかった、という理由で解雇が認められたことがありますが、明確な解雇要件は定まっていませんでした。
そこで労使が納得するようなかたちであれば、企業は自由に社員を解雇できるよう、規制を緩和しようという話し合いが繰り広げられています。欧米で一般的に行われている、一定のお金を払って労働契約を解消する方法を、日本にも取り入れようというのです。
しかし日本と欧米では労働環境が違うために、会議では大きな議論となっています。
転職回数から見えるアメリカと日本の労働環境の違い
ネットリサーチ会社マーシュが行った『仕事に関する調査』によると、転職回数が2~4回と答えた人は47.5%、一度も転職していない人も25.9%にも上っています。
一方アメリカでは、米国労働省の発表によると18~44歳までの転職平均回数は11回となっていました。アメリカのビジネスパーソンは日本のビジネスパーソンに比べて、格段に転職回数が多くなっています。それだけ企業側も日本で言う中途採用に積極的で、求職者も転職がしやすいという労働環境が整っているのです。
今、しっかりとしたキャリアデザインを描くべき!!
規制改革会議では、解雇規制を定めると同時に、中途採用の拡大といった雇用の受け皿をどうするのかという議論も進めることになっています。しかし現状の日本人の転職回数を見ると、そううまくいくものでもなさそうです。もしも雇用の受け皿が定まらないまま解雇規制だけが緩和されたら、私たちビジネスパーソンは大きな影響を受けてしまいます。
今後、もしかしたら解雇が容易な社会になってしまうかもしれません。全てのビジネスパーソンは、今後のキャリアデザインを真剣に考えなくてはいけないかもしれませんね。