近年、震災の復興支援によりさらなる注目を集めるようになったNPO法人。非営利団体として社会貢献をミッションに掲げる組織であり、その活動形態に魅力を感じて就職・転職先にと考える人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「NPO法人」の基礎知識を解説します。
NPO法人とは
NPO法人(特定非営利活動法人)とは、所轄庁から認証を受けた公益性の高い民間の非営利団体です。事業で得た収益を団体の役員および出資者に分配することは認められておらず、必要経費以外全てを社会貢献活動に充てなければなりません。
NPOとNGOの違い
よく混同されるNGOは、国際的な問題解決に取り組む非政府組織を指します。身近な地域で社会貢献活動を行うことが多いNPOに対し、NGOは海外での活動が多いところが大きな違いです。
NPO法人が設立されるまで
NPO法人の設立には、まず特定非営利活動促進法に基づいた要件を満たさなければなりません。たとえば、以下のような項目が挙げられます。
・営利目的ではない
・宗教活動・政治活動を主たる目的としない
・公職者・政党を支持、推薦、反対することを目的とするものではない
・10人以上の役員を有する
など
要件を満たした団体は、役員名簿や定款をはじめとする、法律に定められた書類を申請書に添付し、所轄庁に提出します。その後、所轄庁の認証を受け、登記を行えば法人格を取得することができるようになるのです。所轄庁は申請書受理後、4カ月以内に認証・不認証の判断を下します。
NPO法人になると得られるメリット
一般的なボランティア団体がNPO法人になると、いくつかのメリットを得られるようになります。代表的な例をご紹介しましょう。
・社会的信用を得られる
法人化は所轄庁から認められた証明となり、社会的信用度が高まります。社会貢献活動を目的とする団体としての待遇を受けることができます。たとえば、指定管理・公共事業が受託しやすくなったりします。
・援助金を受けやすくなる
助成金や補助金の応募要件に法人格を求められるケースは多いです。援助金は大切な資金源であり、運営に関わるポイントになります。
・公共施設の利用料減免措置
NPO活動に伴う公共施設の利用料が減免されます。団体の性質上、公共施設の利用頻度が高いために恩恵を感じやすい項目かもしれません。ただ、全ての公共施設に適用されるわけではない点に注意が必要です。
NPO法人の給料は?
NPO法人への就職・転職を目指す方にとって、一番の懸念材料は給与面でしょう。社会常識で考えられる程度の給与は出ますが、事業で得た利益は、必要経費を除いて全て活動費用に回す必要があり、一般企業と比較するとどうしても少ない金額になるといわざるを得ません。NPO法人の活動にやりがいを感じ、使命感を持って勤められる人でなければ継続して働くことはできないでしょう。
NPO法人の求人数は全体をとおして少ない傾向にあります。金銭的に余裕がある団体ばかりではないため、魅力的な就職希望先を見つけたとしても職員として受け入れてもらえないケースもあるでしょう。それでも、社会貢献に携わる「やりがい」はNPO法人ならではの特長です。社会貢献をしたいと考えるなら、まずはボランティアからはじめ、自分の適性を確かめてからNPO法人への就職・転職を目指してみてはいかがでしょうか。