なかなか給料が上がらない中、今国会で議論されているのが消費税の増税。景気が上向くことが条件で、2014年には現在の5%から8%に、2015年には8%から10%に引き上げられるといいます。この消費税の議論の中で語られているのが『軽減税率』。低所得者対策として食料品などの税率は低くしようというものです。実際に軽減税率を実施している諸外国では、どのようなシステムになっているのでしょうか?
ドイツの軽減税率とは?
民主党政権時代に、軽減税率の参考とする国にあげられたの挙げられたのがドイツです。消費税は付加価値税と呼ばれ、その税率は19%。日本の消費税よりかなり高い設定となっています。しかし、一部の商品、サービスには軽減税率が適用されます。食料品、水道水、新聞、雑誌などの税率は7%となっています。主に生活必需品は7%、ぜいたく品は嗜好品19%という区分けです。
しかしこの区分けがなかなか難しい事も事実です。例えば水。水道水は7%ですが、ミネラルウォーターは19%。どちらも同じ飲料水になりますが、ミネラルウォーターは嗜好品と捉えられたわけです。またファストフード店でソーセージをテイクアウトする場合は7%ですが、店内で食べると19%となっています。
この付加価値税と軽減税率がドイツで採用されたのは、1968年。40年の歴史があるものの、「何が日常品で、何がぜいたく品、嗜好品」なのかという議論は、未だに続いています。日本で導入される場合、やはりこの部分が議論になるでしょう。
さらに複雑なイギリスの場合
ドイツよりもかなり細かい軽減税率を導入しているのが、イギリスです。イギリスの標準税率は20%、家庭用燃料、電力は5%。そして日常品は0%となっています。水道水や食料品に、税金はかからないのです。 しかしこれがかなり複雑。例えばナッツ。殻に入ったままの場合は0%ですが、殻から出ているものは20%。食料品も加工されているものは、20%になるのです。
本当に必要な消費税議論とは?
ドイツの付加価値税は2007年に増税され、16%から19%になりました。この増税により200億ユーロ(約2兆3600万円)の増収がありました。そしてこの増収分の使い道を、国民に明確に提示しました。
3分の2は国の財政再建のために使い、赤字を半減させました。そして残りの3分の1は失業保険に使いました。結果企業の負担が減り、失業率も2007年は10.8%だったものが、2009年には7.8%に改善したのです。
どんなものを減税対象にするかという議論も大事です。しかし本当に必要な議論は、増収分は何に使うのかということではないでしょうか。