現在の仕事を続けながら転職活動をするのか? それとも退職して、腰を据えて転職活動をするのか? 非常に頭を悩ませる問題です。しかし退職をしてから活動する場合、心配なのはお金です。場合によっては、次の職場が決まるまで無収入となってしまう可能性もあるのです。
それではどの程度の貯蓄額があれば、安心して転職活動を行えるのでしょうか?
安心して転職活動に望める貯蓄額は?
キャリアデザインセンターが25~34歳の若手ビジネスパーソンを対象に『現在の会社を辞めて転職する場合、どのくらいの貯蓄額があれば安心できるか』を尋ねた意識調査(キャリアデザインレポート2012 現在の会社を辞めて転職するにあたり、どのくらいの貯蓄額があれば安心できますか)を行いました。
グラフ:キャリアデザインレポート2012 現在の会社を辞めて転職するにあたり、どのくらいの貯蓄額があれば安心できますか。
この調査によると、安心して転職活動ができる貯蓄額は597万円の貯蓄が必要だと答えています。この調査を性別、年齢別で見ていくと、ひとつの方向性が見えてきます。
もっとも多く貯蓄額を必要としているのは30~34歳で707万円。家庭を持つ割合が多い年齢層が飛びぬけて高くなっています。転職活動中に家族を心配させたくない、という思いが見えてきます。
そして30~35歳以外の層には、ひとつの目安があるようです。女性が安心して転職活動をできる貯蓄額は427万円ですが、国税庁が行った平成23年分民間給与実態統計調査によると、女性の平均給与は268万円。1年半に少し多い金額です。
また20~25歳が安心して転職活動をできる貯蓄額は494万円。この年齢層の平均給与は336万円。約1年半分が目安となっていました。
もしも早い転職がうまくいかなくても、1年半は生活できる蓄えが必要だと考えているようです。
失業給付金はすぐにはもらえない!?
しかし貯蓄がなくても転職がしたい。「雇用保険に入っていたから、失業給付金で生活しながら、転職活動をする」と思っている方は要注意です。
雇用保険に加入していると、退職し失職すると失業給付金を受け取ることができますが、自己都合で退職した場合は、ハローワークで手続きを行ってから3ヶ月間は失業保険を受け取ることはできません。また失業保険の日額は『離職前6ヶ月間の給与額÷180で算出した金額の50~80%程度(60歳~64歳は45~80%)』となり、離職前の給与がどんなに高くても、30歳未満は6440円、30以上45歳未満は7155円、45歳以上60歳未満は7870円、60歳以上65歳未満は6759円が最高額となります。(ハローワーク 平成24年8月1日現在)。
「失業給付金があるから大丈夫」と思われがちですが、もらえない期間があること、失業給付金の金額は必ずしも離職前と同じではないということを認識しなくてはなりません。