安部政権の目玉である経済政策『アベノミクス』。「円安になった」「株価が上がった」ということで「景気が良くなりつつある」と言われています。でも私たちビジネスパーソンにしてみれば、実際に手にする給料が上がらないと景気が良くなっているとは実感できません。
そんな中始まった労働組合と企業の経営側が賃金などの交渉を行う『春闘』では、私たちも景気が良くなりつつあることが実感できそうなことが起こっています。
毎年春闘では自動車、電機産業の動向が、他業種の賃金相場へ大きく影響します。今年の春闘で注目を集めていたのが自動車産業。主に海外輸出に頼っている自動車産業は、ここ最近の円安の効果で業績が回復しつつありました。自動車産業の労働組合は、ベースアップを求めなかったものの、ボーナスの増額を要求。このボーナス増額要求を経営側が受け入れるのかということに焦点が集まっていました。
そして交渉の結果、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダでは労働組合の要求を全て飲む『満額回答』。ボーナスのアップが実現したのです(朝日新聞デジタル2013年3月13日付)。
『業績回復=賃上げ』が実現!
安部晋三首相はデフレ脱却のためには賃上げが必要だと、企業に要求していました。ところが経営側は賃上げには消極的で「このままでは『アベノミクス』もうまくいかないのではないか?」と思われていました。
先陣を切って賃上げを表明したのは大手コンビニ・ローソンでした。それ以降小売りを中心に賃上げを行う企業が出始め、自動車産業にまで波及したのです。
安部首相は「業績が上がっている企業は賃上げをするべき」と言っていましたが、まさに今業績が回復している自動車産業が賃上げ要求を受け入れたということで、他業種へ賃上げの波が続いていくのではないかと期待が持てるようになってきました。
賃上げの流れは中小企業まで波及するか?
今後の注目は、業績の上がっている中小企業や非正規労働者まで賃上げの流れが波及するのかということ。ここ数年は「会社の業績が上がっていても、景気の先行きが不透明だから賃上げには至らなかった」という企業が多かったわけですが、政府の要求に応え自動車産業が賃上げ要求に応じたとなると、その波は中小企業まで押し寄せてくるのではないでしょうか。
あなたの勤めている会社の業績が良くなっていたら、それは賃上げのサインかもしれません。今年の春は、少し期待して待っていてもいいかもしれませんね。