平均所得のニュースをよく耳にします。ニュースを見て「平均値より低い!」と驚くビジネスパーソンも少なくないと思います。
しかしニュースで取り上げられるのは、だいたいが『平均所得』の金額だけ。実際に行われた調査では、さらに掘り下げたデータもあるんです。
平均値だけでは分からない、所得の実態はどのようになっているのでしょうか?
厚生労働省は毎年『国民生活基礎調査』を実施しています。国民生活基礎調査では各世帯の構造から、世帯別の所得まで、厚生労働に関する項目を調査。よくニュースで目にする『世帯ごとの平均所得』は、国民生活基礎調査のデータだったんですね。
そして国民生活基礎調査のデータを見ると、実態に近い現実が見えてきます。
世帯平均所得は約548万円だが……?
『平成24年 国民生活基礎調査』では、当然ながら平均所得を発表しています。平成24年の世帯別平均所得は548万2千円(Ⅱ各種世帯の所得等の状況 1年次別の所得)。なんだかすごく高く感じますね。しかし調査は『世帯別』で行われています。
『平成24年 賃金構造基本調査』(結果の概要 賃金の推移)によると、賃金の平均額は297万7千円で、性別で見ると男性は329万円、女性は233万1千円となっています。ひとつの世帯別の平均所得548万2千円は、夫婦共に働いていて、平均賃金額を貰えていると達成できる数字なんですね。
でも「共働きでも、そんな額には達していない……」という方もいると思います。実は平均よりも実態に近いと言われる『中央値』のデータも、国民生活基礎調査では発表されています。
『中央値』はデータを小さい順にならべ、中央にある数字のこと。世帯別所得額の中央値は432万円でした(Ⅱ各種世帯の所得等の状況 P.13 図13)。平均所得額が約548万円でしたから、約116万円も低い数字が、中央値だったんです。
中央値432万円なら、夫が会社に勤め、妻がパートで扶養内におさめれば、かなり近い数字になります。これなら現実の生活にかなり近い数字ですね。
ニュースは数字だけではなく、生データを見る事も必要
ニュースでは『世帯別平均所得548万2千円』という見出しが一人歩きします。数字を見て「周りはもっと稼いでいるんだ」と思ってしまいますが、中央値で見ると意外と現実的な数字です。
ニュースで見る数字を鵜呑みにするのではなく、データをしっかりと見る。そんな習慣をつければ、ニュースの裏側に潜む現実も、見抜くことができますよ。