介護のために転職をすると、年収はどのように変化するのでしょうか? 高齢化社会が進んでいる日本では、親の介護のために転職を余儀なくされることも多くなっています。介護を理由として転職をした人たちには、年収額に驚くべき変化が現れていました。
介護を理由にした転職後の給与や雇用の実態
高齢化社会が進む中で課題となっているのが「介護と仕事の両立」です。明治安田生命福祉研究所とダイヤ高齢社会研究財団では『仕事と介護の両立と介護離職』という調査を実施・発表しました(2014年)。結果からは、介護を理由とした転職には厳しい現実が待っていることが分かりました。
仕事と介護を両立させるために転職をした人に「転職前の年収と転職後の年収」を聞いたところ、男性は転職前の平均年収556万6千円から、転職後は341万9千円に。なんと約4割もダウンしていることが分かりました。
また女性は転職前の平均年収350万2千円から転職後は175万2千円に。女性は年収が半減しているのです。(『仕事と介護の両立と介護離職』P.6(以下、資料と表記))
さらに正社員から介護転職をした人のうち、再び正社員に転職できた男性は3人に1人、女性は5人に1人にとどまっています。介護に時間を要する状態では、正社員への転職もままならないという現実が浮き彫りになっていました。
会社の制度を利用して、仕事を続けることも可能
もしも家族に介護が必要になったとき、転職を考えることもひとつの手ですが、もっと別の選択肢があります。それが「会社の制度」を利用すること。会社には「1日単位の有給休暇」「半日や時間単位の有給休暇」をはじめ、「介護休暇」や「労働時間や日数の短縮制度」を整備しているところもあります。
前述の調査によると、介護と仕事を両立させている人は、会社の制度を幅広く利用している実態も分かりました(資料P.13)。また実際に上司や会社に相談したところ、3割程度の人は介護に対して理解を得られ、転職せずに働き続けています。
未来のために、今できることを実践しよう!
まだ『介護』は遠い未来のことだと考える人もいるかもしれません。しかし未来は突然現実となります。介護が現実になったときのために、今からできることを調べておくことが必要です。
例えば今勤めている会社に、介護に関する制度があるのかどうか、チェックしておきましょう。またもしも制度がないのであれば、転職を検討することもひとつの選択です。転職をする際に有利となるような資格やスキルを今から身につけておくことが必要かもしれません。
年収が大きくダウンする可能性がある介護のための転職。年収を少しでも下げないためにも、今から備えをしておきましょう。