20代の成長は友人と仕事で決まる
高い失業率やNEET(ニート:就業意欲のない若者)の存在が社会問題となっている昨今。しかし、20代は仕事による成長を非常に重要視していることが、統計によって明らかになりました。
リクルートワークス研究所による『大卒20~50代の仕事における成長についての意識調査』を見ると、20代のうち20%以上が「仕事における成長が非常に重要」と述べています。全世代の平均は15.2%という数値と比べると、仕事によって成長したいという意識は高いのです。
「非常に自分を成長させてくれている」「やや自分を成長させてくれている」という回答の合計は友人・知人が約80%、仕事が約75%と、友人と仕事が20代の成長に関して重要なファクターとなっていることが理解できます。(参考資料:DiamondOnline 若手ビジネスパーソンは草食系が7割)
やりがいのある仕事にチャレンジさせてくれる上司が成長のカギ
しかし、漠然と人や仕事が成長要因と言っても、若手社員が実際には仕事のどの部分に成長しているのでしょうか。これも同『Works人材マネジメント調査2003[総合報告書] Part4 業績の鍵となる若手の早期戦力化』という統計で明らかにされています。
能力差が目立つ最大の要因は仕事に対するモチベーション66.2%、上司や育成担当の指導が64.9%となっています。同統計では「入社後3年程度で7割以上がビジネスパーソンとして1人立ちできる」と結論づけていますが、社員による能力差を感じる主な部分にはモチベーションや上司の指導が影響しています。
つまり、成長を実感できる要因を掘り下げていくと、仕事があること自体が成長の要因ではないと分かります。言い換えると、器の大きい上司がやりがいのある仕事を与えてくれるかどうかがカギとなります。
20代ビジネスパーソンに挑戦させる機会を与える方法
ここまで20代が仕事に対して成長を感じるかという意識調査と、マネジメント側から見た若手育成のヒントについて述べました。最後に「上司や育成指導担当者は、どのようにして若手社員を導くべきか」という点についてお話します。
「20代はゆとり社員だから、忍耐力がなくすぐに仕事をやめるだろう。だから教育する時間がもったいない」このような風潮があります。レッテルを貼って諦めてしまうことは簡単ですが、仕事を覚えようとするモチベーションが高い意欲的な社員も存在します。彼らに対して向き合った指導をしなければ、やがて意欲は低下して退職してしまいます。
20代でも期待できる若手社員に対しては真摯に向き合うこと。どうせならポジティブなレッテルを貼るべきです。
『教室のピグマリオン』という教育心理に関する実験があります。これは、ランダムに抽出した生徒を「知能テストの結果、将来成績が伸びる可能性が高い子ども」としてリストを教師に渡し、ポジティブなレッテルを貼ることにしました。
知能テストの数値はデタラメなものでした。しかし、結果として子どもたちの成績は向上しました。つまり、期待できる社員を指導する上司の意欲。これこそが20代ビジネスパーソンの育成法です。(参考資料:Diamond Online「どうせ、あいつはゆとり社員だから」)