キャリア Vol.817

20’sには“シビアだけどチャンス”な時代? 2020年の「転職の新常識」を5つの記事から考える

大手各社が中途社員を積極的に採用し、トップカンパニーが次々に「終身雇用の限界」を明言し始めた2019年。

「新卒で入社した1社で一生働く」というこれまでの常識が、いよいよ名実ともに崩壊しつつある……ということは、2020年以降は転職のカタチも一層変わっていくはず。

そこで特集「2020 転職の新常識」では5つの記事を通して、今まさに20代がアップデートすべきことを探ってみた。

2020転職の新常識

それぞれのインタビューから見えてきたのは、これからの20代にとって転職市場の変化への対応は切っても切り離せないということ。転職するにしてもしないにしても、常に自分の市場価値を意識しながらキャリアをつくっていくことが求められるのだ。

個人の売り手市場はこれからも続いていくことが予想されるが、「それならいつでも転職できる」と安心して胡坐をかいていてはいけない。

常に転職市場の変化をキャッチアップしながら、どんな環境で成長しキャリアを切り拓いていくべきなのか、自分で考え続けることが大切だ。そのヒントを5つの記事から探ってほしい。

【約30年採用市場を見てきた人事のプロ】
大手が中途採用を本格化した未来、20代に待ち受けている現実を知る

数年前から「終身雇用がなくなり、年功序列は崩壊する」とは言われていたけれど、2019年にはいよいよ本格的に日本のキャリアの根幹にあったものが崩れてきたように感じる。

これまで当たり前とされてきたこれらの仕組みが崩れたら、改めて今の20代にはどんな影響があるのか?

組織人事コンサルタントとして30年近くさまざまな企業の人事・採用を見てきた株式会社人材研究所の曽和利光さんに話を聞いた。

曽和

今の状況が続けば、かつて日本企業で伝統的に行われてきた『総合職採用』は姿を消し、求職者側が一緒に働きたい上司やミッションを選ぶ『プロジェクト別採用』へ移行していくことが考えられます。 企業の育成力は下がり、手厚い研修や先輩の指導もなくなる。『ただ仕事をしていればスキルが磨かれるわけではなくなっていく』。これが今の20代が置かれている状況です。

記事を読む>>「今の25歳は‟社会のお荷物”になる可能性も」大手が中途採用を本格化した先に、20代に待ち受けている現実

【転職サイト・リクナビNEXT/doda/type編集長】
企業の採用スタンスの変化から、求められるアクションを読み取る

転職市場の変化の波は、採用を強化する企業側のスタンスにも表れている。そして企業のスタンスが変わったら、20代に求められるアクションも変わってくるのでは?

そこで多くの採用強化中の企業をクライアントにかかえる転職サイト『リクナビNEXT』、『doda』、『type』編集長たちにアドバイスをもらった。

リクナビNEXT藤井

企業と個人の関係はフラットになっていますが、採用に関しては、企業よりも個人の方が強くなっている印象です。これから企業は「求職者を採ってあげる」みたいな考えでは採用できないようになりました。

記事を読む>>リクナビNEXT・doda・type編集長が教える転職の新常識「2020年、20代は“自分を知る”ために動こう」

【年収アップ転職の達人】
「いつでも転職できる状態」のつくり方を考える

初めての転職を経験する人たちの中には、数年前に転職した経験のある先輩や、親のアドバイスなんかを鵜呑みにしてしまっている人も。しかし「転職に関する情報は、常に最新のものにアップデートしておくべきだ」と話すのは、5回の転職により年収が240万円から1500万円にアップした‟転職の達人”こと、motoさんだ。

moto

実際に転職するにしてもしないにしても、「いつでも転職できる状態」をつくっておくことで「会社に依存した働き方」から抜け出すことができます。この状態をつくるためには、社内の情報だけでなく、社外の情報もキャッチアップしておくことが大切です。

今回は、motoさんに寄せられた「転職の勘違い」の例と共に“新常識”を紹介してもらった。

moto

今いる会社の中での立ち位置ではなく、転職というマーケットの中で自分はどこに位置しているのか、世の中ではどんな能力が求められていて、自分には何が足りないのかという、社内と社外における“差分”を正しく把握することが大切です。

記事を読む>>『転職アンテナ』motoが教える20代の勘違い転職5つのこと「大手企業出身、新人MVP……その肩書き“だけ”では戦えない」

【“開花ビジネス”のスペシャリスト】
2020年以降、伸びるビジネス領域を見極める

「どこに転職したいか」を考えるときは、つい今話題の企業や盛り上がっている業界に目がいきがち。でもきっと、20代で「時代が始まる場所」に身を置く楽しさもあるはずだ。では、2020年以降に「開花するビジネス領域」はどこなのだろうか?

これまで12回の転職を重ね、リクルート、Google、楽天の黎明期に事業に参加し、まさに「時代が始まる場所」に身を置きながらキャリアをアップデートしてきた尾原和啓さんに話を聞いた。

尾原

開花寸前の場所にいることのメリットは、「将来何者かになる人と仲間になれる」ことです。開花寸前の場所に集まる人の数って、そもそも少ないでしょう。でもその中で、将来誰かはきっと何者かになる。開花寸前の場所にいれば、かたちだけではない、将来本当に使える人脈を築くことができるかもしれません。

記事を読む>>2020年以降、伸びるビジネス領域の見極め方―転職するなら“今盛り上がってる業界”よりも“開花寸前”の分野?【尾原和啓】

【気鋭のスタートアップ経営者】
転職が当たり前の今、あえて“1社で長く働く”意味を考える

短期間で転職することは以前よりもネガティブに捉えられなくなってきた。裏を返せば、今まで当たり前だった「1社で長く働く」ことの意味も変わっているのでは?

そこで、2019年に「転職が当たり前の時代だからこそ、一社に長くいる人の価値も上がっている」とツイートし話題になった、UI/UXデザインのスタートアップ企業・グッドパッチ代表の土屋尚史さんに話を聞いてみた。

土屋

自分で船を漕ぐことなく、ただ経験だけもらって出ていく人と、この3年の自分の成長によって会社の成長が決まると思いながら会社の課題に立ち向かえる人とでは圧倒的に差があります。普段の業務をやりながら、別の部分で「自分が会社の成長につながることができないか」とアンテナを張り、見つけたら実行する。そういう人にチャンスをあげたいと僕は思います。

記事を読む>>「自分でその船を漕ぐ意思はあるか?」転職が当たり前の今、“1社で長く働く20代”が改めて考えたいこと 【グッドパッチ土屋尚史】

2020年以降、20’sにとって“シビアだけどチャンス”な時代になる?

今回の特集では、転職が当たり前のものになったいま、いよいよ全てのビジネスパーソンにとって「自分の市場価値」のチェックが欠かせない時代が到来していることが感じられた。

若手時代から「社会という大きな枠組みで見たときの自分の価値」が問われるのは、20’sにとってシビアな状況であるとも言える。しかし上の世代と違って、早いうちから市場価値を意識しながらキャリアを形成できるのは、成長したい20’sにとって大きなアドバンテージにもなるはずだ。

この特集をきっかけに、日頃から転職市場の変化をキャッチアップし、今の自分にどんな価値があるのか、そしてこれからどう成長していきたいのか、ぜひ考え続けてほしい。

企画・文/大室倫子


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