2018.02.27
幸せな人生につながる働き方-私たちのキャリア入門第15回
仕事だけが人生ではありませんが、仕事は人生の中でも重要な部分を締めています。では、一体どのような人生が「幸せな人生」なのでしょうか?最終回となる今回は、ハーバード大学が50年以上の年月をかけて行なった実態調査をもとに、幸せな人生の秘密を解き明かしていきましょう。

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【プロフィール】

■慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授 高橋俊介
キャリア開発の研究で第一人者として知られる。東京大学を卒業後、日本国有鉄道に入社。1984年、米プリンストン大学工学部修士課程を修了し、マッキンゼーアンドカンパニ?に入社。89年には世界有数の人事組織コンサルティング会社ワイアットの日本法人(現ウイリス・タワーズワトソン)に転職し、13年より同社代表取締役社長に就任。97年に退任、独立後も、人事コンサルティングや講演活動を続けている。
幸せな人生を送るための七つの条件
晩年となって自身の人生を振り返った時に「幸せだった」と感じられる人とそうでない人との間には、どのような違いがあると思いますか?あらゆる研究者が協力したハーバード大学の調査で、その真相が明らかになっています。
その調査は、ハーバード大学の卒業生や貧民街に住まう人々、高いIQを持つ女性など、属性や外的条件によって分けられる人々を対象に行われました。対象人数はそれぞれ数百人という大規模な調査です。研究者達は、5年に一度の頻度で彼らに対する面接を実施。面談は思春期から老年期まで、50年以上にわたって行われました。結果、面談を重ねていくうちに、幸せな人とそうでない人とが徐々に分かれていったそうです。その違いを生んだのは、遺伝子や財産、人種ではなく、ライフスタイルの選択にありました。ここでは、幸福度に差を生む要因を、七つに分けてご紹介していきます。
1.非喫煙
たばこを吸うから不幸なのか、不幸を感じてたばこに手を出すのかは定かではありませんが、若いうちに禁煙した人の方が人生を幸せに感じている傾向にあります。
2.健康体重
太りすぎず、痩せすぎず。健康的な体重である人は幸せでいられるようです。
3.適度な運動
健康であるための行動であるだけでなく、長期的視点で自身の行動を変える能力を持つ人は、幸せな人生につながる習慣を持てる人と言えるでしょう。
4.成熟した防衛本能(癒し)
人間には、苦境に立った時に自分自身を癒す防衛本能が備わっていると言います。ここでは、その中でもポジティブな防衛本能が重要です。ポジティブな防衛本能とは、病気が見つかった時に同じ症状の人とコミュニティを作って支え合ったり、自ら笑い飛ばしたりすることを指します。一方で、自虐的になったり他者を攻撃してしまうネガティブな防衛本能は、幸せにつながりづらい傾向にあるようです。
5.アルコール依存症ではないこと
適度なアルコールはよいのですが、アルコールに限らず何かに依存してしまうのは望ましくありません。依存症がストレスとなる可能性すらあります。苦難があった時に、自分は何で自身を癒やす傾向にあるか?一度考えてみるとよいでしょう。
6.安定した結婚生活
安定した結婚生活が幸せへと導くのか、幸せになれる素質のある人だから結婚生活が安定しているのか?私は、後者が真理だと考えます。幸せになれる人は、多様性への感受性に長けている人だと思うのです。離婚の理由として性格の不一致を挙げるケースがよく見られますが、性格は誰もが不一致です。楽しい生活を送るためには、互いに理解し、尊重し合わなければならない。これは結婚生活だけでなく、上司や同僚との関係性の中でも言えることでしょう。
7.高学歴
高学歴だから収入が高い、という話ではありません。自分の将来のために勉強を続けることができたという自己管理能力の高さがポイントです。この自己管理能力は、健康管理などにもつながります。所得水準によって生活病の割合が違う要因は、この部分にあるように思えます。
コントロールできないことを知り、ポジティブに付き合う
人生には、コントロールできないことがたくさんあります。工場のように、自分の都合に合わせた計画通りに全てを進めていくことは不可能です。だからこそ、学歴や健康など、自己管理できる部分は長期的にコントロールし、自己管理できない事態が起きた場合には、健全な防衛機能でポジティブに受け止める。これが、幸せな人生を送るためのコツではないでしょうか?
そしてもう一つ大切にしたいのは、知恵よりも行動が重要であるということです。もちろん知恵も必要ですが、60代、70代と歳を重ねた時に生きてくるのは行動習慣なのです。あなたにはどんな行動傾向がありますか?これを理解することが、幸せな人生に向けた第一歩となるかもしれません。
「時間や気力のほとんどを、思考ではなく行動に、計画ではなく実行に」
『ハーバード流キャリアチェンジ術』(ハーミニア・イーバラ/著 宮田貴子/訳 金井壽広/監修 翔泳社)という本に登場する一節です。計画を立ててその通りに実行することが工業化社会のパラダイムだとしたら、これからの時代は行動や習慣が大切になるのです。
人生において、本当に大切なものとは
最後に、ワークとライフを統合していくことの大切さを、もう一度お伝えしておきます。優先順位をつけるのではなく、両方を並列させていくことが健全な生きる力を生み出すはずです。
仕事の過度な分業は、クライアントや同僚への感受性を鈍化させていきます。そして、仕事と家庭の過度な分業も、周囲への感受性を鈍化させていくのです。人生で大切なことは一つではありません。仕事は、もちろん大切です。ですが、他にもきっと大切なことがある。あなたにとっての大切なものはなんですか?今一度考えてみることで、ポジティブな良い習慣を身につけていってくださいね。
【連載】私たちのキャリア入門
会社任せにしていてもキャリアを築くことができた一昔前とは異なり、「キャリアは自ら切り開いていくものである」という認識が一般的になった現代。変化の激しいこの時代で、いかにして自分らしいキャリアを築いていくかが重要です。
本連載では、キャリア学の権威である慶應義塾大学大学院・特任教授の高橋俊介氏が、20年近く行ってきた調査に基づいた「キャリアを切り開くヒント」を解説します。想定外の事態に直面しても、焦らず、自分らしく働き続けられる力を身につけていきましょう。
企画・撮影協力/ ビジネス・ブレークスルー(BBT)
この記事の内容は、動画で詳しく見ることができます
※このコンテンツは、2016年にtypeメンバーズパークに掲載された動画を新たに記事化したものです。
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