パワハラを受けてしまったら、どこに相談したらいいでしょうか? 会社内に相談窓口を設けている企業がほとんどですが、ここ数年は公的機関へ相談する人がどんどん増えています。昨年全国の労働局で受け付けた労使間のトラブルで最も多かったのは職場での『いじめ・嫌がらせ』、いわゆるパワハラでした。
昨年寄せられた『いじめ・嫌がらせ』の件数は5万1670件。過去最高の件数で、初めて5万件を突破しました(日本経済新聞 2013年5月31日付)。
厚生労働省が発表した『平成24年度個別労使紛争解決制度施行状況』によると、各都道府県の労働局で相談受付が始まった平成13年度から平成23年度までは『解雇』の相談がトップでした。平成23年度も『解雇』の相談は5万1500件ほどありましたが、『いじめ・嫌がらせ』の相談件数が上回りトップとなりました。
『解雇』の相談は平成21年に最多の6万9121件を記録したのち減り続けています。しかし、一方で『いじめ・嫌がらせ』は平成21年には3万5759件でしたが、毎年約5000件ずつ増加しています。
労働局への相談となると事が大きくなると思い躊躇する方もいるかもしれませんが、大きな問題になりそうな案件に対して迅速に対応してくれるというメリットがあります。
労働局が紛争解決のために『助言・指導』『あっせん』を実施
実際に自分では解決できない問題を抱えてしまったら、どのように行動すればよいのでしょうか?
各都道府県の労働局は『総合労働相談コーナー』を設けています。まずは『総合労働相談コーナー』へ相談に行きましょう。ここでは個別に相談をすると様々なアドバイスを受けることができます。そして相談が紛争解決援助の対象になった場合は、相談者が申請することで、労働局が間に入って紛争解決の手助けをしてくれます。
ひとつは労働局長による『助言・指導』です。労働局長が会社に対して問題点と解決の方向性を示すことで、当事者間で自主的な解決を促します。
それでも問題が解決しない場合は、紛争調整委員会が『あっせん』を行います。決められた日に紛争当事者双方の話を聞き、具体的なあっせん案を提示するという解決方法です。
共に相談者が申請しなくてはなりませんが、昨年度『助言・指導』は申請後1ヶ月以内に97.4%、『あっせん』は申請後2ヶ月以内に93.8%を処理しています。
何か職場で問題を抱えてしまったら、まずは『総合労働相談コーナー』に足を運んでみましょう。そこで受けたアドバイスでも解決できなければ、労働局が間に入り、迅速に処理をしてくれます。自分ひとりではどうしようもない……と悩んでいる方は、ぜひ労働局に相談することをお勧めします。