正社員の仕事を探しても、なかなか条件が合わない……。
出産を控えた女性や子育て世代に、今こんな悩みを抱えている人が多くなっています。出産後、子育てをしながら正社員で仕事をしたくても、実際に見つけることは非常に難しくなっています。
そこで政府は今、『限定正社員』制度を整備しています。働き方を考えて転職をしたい人は、どんな制度が考えられているのかチェックしておきましょう。
まずは『正社員』とはどういったものなのかを考えてみましょう。正社員は転勤する可能性があり、業務面においても配置転換があり、仕事内容の違う部署に移動することがあります。
また時間的にも残業が当たり前にできることが前提で、会社の就業時間+残業時間は働かなくてはいけません。しかしすべての働く人が、転勤も残業もできるかというと、そうではありません。そこで政府が導入を進めているのが『限定正社員制度』です。
3種類の『限定正社員』が提示される
厚生労働省がまとめた報告書では、具体的に限定正社員の働き方が提示されました。まずは転勤がない『地域限定正社員』。次に提示されたのが、専門的な知識や技能が必要とされる職務だけに採用される『職務限定正社員』。
最後に、長時間勤務が難しい人のための『勤務時間限定正社員』。大きく分けてこの3つが、限定正社員の形として提案されています(厚生労働省 「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会報告書の概要 P.2)。気になるのは賃金ですが、「正社員の8~9割とすることが多い」という給与水準を提示しました(日本経済新聞 7月17日付 本文より)。
『平成25年 民間給与実態統計調査』によると、正社員の平均年収は473万円(P.5 2(1))。だいたい386万から425万円が、限定正社員の平均年収になりそうです。また正社員から限定正社員への変更、限定正社員から正社員への変更も可能になるように提言もしています。これらが実現すれば、自分の求める働き方で仕事ができることになります。
やむなく非正規になることは無くなる!?
女性の場合なら、出産を控えた段階で限定正社員への変更も可能になります。また家族に介護が必要になった場合も、限定正社員に変更すれば、そのまま仕事を続けられることになります。現在では妊娠・出産や家族の介護が必要になった場合、転職先を探しても見つからず、やむなく非正規として働くことが多くなっています。
『限定正社員制度』がなるべく早く法整備されれば、非正規にならずに済む人が多くなります。働く人の事情に合わせた『限定正社員制度』。法整備されることで、転職する際にも選択肢が多くなります。今度の動向をしっかりとチェックしてください。