給与は労働の対価として支払われています。もしもあなたが仕事に携わる上で怪我や病気をして休職せざるを得なくなった場合、給与は支払われるのでしょうか?
実は休職する場合、給与の支払いに関しては法的な決まりはなく、保険に頼ることになります。
休職時の給与の取り決めは、会社によって違ってきます。休職中でも給与を支給する会社もあれば、まったく支払わないという会社もあります。法的な決まりがないために、各会社の判断に任されているというわけです。
まずは就業規則を確認し、休職中の給与の仕組みを確認しておきましょう。
給与が支払われない場合に利用できる保険は2種類あります。ひとつは労災保険の『休業補償』、よく『労災』と呼ばれているものです。もうひとつは健康保険の『傷病手当』です。このふたつの保険はどちらが得、というものではなく、休職する理由が大きく絡んできます。
業務上の怪我や病気は『休業補償』を申請しよう!
休職する理由が業務上発生した怪我や病気の場合には、労災保険の『休業補償』を利用することができます。業務時間はもちろん、通勤時間に起きた事故などでも利用が可能です。
申請は各地の労働基準監督局で行い、給付金額は怪我などが発生した日の直前3ヶ月分の給与を元に割り出される日額賃金の80%と手厚くなっています。
しかし最近よく聞く『うつ病』の場合、会社側が業務上発生したことを認めないと、労災が認められないことが多くあり、問題となっています(中日新聞2013年5月17日『<はたらく>いじめ・パワハラでうつ病に 依然高い労災認定の壁』)。
また業務以外での怪我や病気の場合も、当然労災には当てはまりません。その場合に利用できるのが健康保険の『傷病手当』です。
業務外の怪我や労災が認定されない場合には『傷病手当』
傷病手当は病気休業中に、本人や家族の生活を保障するものです。業務外の怪我や病気にも対応してくれます。
申請は会社の健康保険組合で行い、傷病手当金は給与の平均日額の約2/3。支払われる期間は1年6ヶ月までとなっています。また休職時に会社から給与が支払われる場合、給与が傷病手当より少ないときには差額分を受け取ることができます。
ただし傷病手当は、労災が認定されている場合にはもらうことはできません。労災の認定に時間が掛かる場合は、先に傷病手当をもらうことは可能です。しかし労災が認定されたら、傷病手当は返還しなくてはいけませんので注意してください。
一番いいのは健康で、怪我もなく仕事ができることですが、人生何が起こるか分かりません。もしも休職しなくてはいけないような病気になったら、保険を申請しましょう。仕事上かかってしまった病気、怪我なら労災、仕事以外で休職するなら傷病手当。覚えておいて損はありませんね。