セクハラは会社にとって大きな問題です。私たちビジネスパーソンは、そのことを常に意識しています。しかし先日行われたセクハラをめぐる裁判で、会社だけではなく個人も、今まで以上に注意が必要になりそうな判決が出されました。
今後セクハラに関して、どのような注意をしていけばいいのでしょうか?
大阪府の水族館で、男性社員2名が女性派遣社員にセクハラ発言を1年以上繰り返し行っていました。女性派遣社員が会社にセクハラの事実を伝えたところ、会社は発言を行っていた男性社員2名に対し出勤停止の懲戒および降格の処分を行いました。
裁判は男性社員側が「処分が重すぎる」として、処分の取り消しを求めて行われてたものです。そして最高裁の結果は「妥当な処分」。セクハラを要因とした懲戒処分は「懲戒権の濫用にはあたらない」として、会社の裁量権を認めたかたちとなりました(産経WEST 3月20日付)。
そしてこの判決は、今後のセクハラ行為の処分について、ひとつの目安になっていくでしょう。
今後のセクハラの指針となる、ふたつの注意点
裁判自体は「処分が重すぎる」ことを争ったものでしたが、注目すべき点は内容にもありました。ひとつは「体への接触がない、発言だけでセクハラと認定された」という点。セクハラというと体への接触が思い浮かびますが、このケースでは発言のみ。発言だけでもセクハラ行為となるということが決定づけられました。
もう1点は『被害者が被害感情を表に出していなくても、セクハラと判断された』こと。被害者は職場の人間関係等を考え、加害者に抗議などは行っていませんでした。それでも裁判ではセクハラと認定されています。
今後はこの2点を考慮に入れ、発言にはこれまで以上に注意する必要があります。
とにかく性的な発言や倫理的でないは慎むべき!
セクハラ発言は相手が「嫌だ」と感じた時点でセクハラとなります。例えば「彼氏いるの?」という発言も、相手が嫌だと感じたらセクハラとなります。
そして相手が抗議しないからといって発言を繰り返すことも、セクハラと認定されます。「仲がいいので聞いてみた」という言い訳は、もはや通用しないということです。
この事例から性的な嫌がらせにつながるような発言や倫理的でない発言は、絶対に慎むべきだと言えるでしょう。
また、昨今では男性から女性へだけではなく、女性から男性へや、同性間でのセクハラも認められています。4月からは新入社員が入社してきます。社内でセクハラ発言をしないよう、常日頃から注意しましょう。