最近、会社に不満を感じ、転職を検討しはじめている人が増えているようです。転職理由にはさまざまあると思いますが、果たして会社を辞めることが一番の解決策になるのでしょうか? 本当に転職が必要なのか、もう一度考えてみる必要があるかもしれません。
みんなが仕事を辞める理由は?
「転職したい!」と思ったときは、まず周りの経験者に退職理由を聞いてみるべきです。友人や家族などの中から経験のある人にあたってみてください。そして、自分の退職理由がきちんとしたものなのかを確認してみるとよいでしょう。自分の抱えている問題が比較的単純なもので、退職をしなくても解決できるということに気が付くかもしれません。一度立ち止まって本当に辞めるべきなのか考えてみましょう。
退職理由は?
厚生労働省が発表した『(平成25年)雇用動向調査結果』によると、退職者数は1年を通して718万人にも及んでいます。これらの人々はどのような理由で退職に至ったのでしょうか? 同調査で明らかになった退職理由を、それぞれ紹介していきましょう(なお、ここでは「その他」「定年・契約期間の満了」の項目は除きます)。
・労働時間等の労働条件が悪い
20代・40代前半で最も多い退職理由です。残業が多い、休みが少ない、キャリアアップが見込めないなど、労働条件とひと口にいってもさまざまありますが、やはり悩みに繋がりやすいものばかり。女性の比率のほうが高い結果が出ています。
・収入が少ない
20~40代で平均して10%前後という数値が出ており、世代を超えて誰もが抱える問題だといえます。50代前半の男性では断トツで最多の理由となっており、年齢を重ねるにつれて収入に悩む人は増えるようです。
・会社の将来が不安
20代後半~40代前半の男性では特に高い数値が出ています。なかでも30代後半の男性では最多の理由となっています。
・会社都合
40代~50代の男性では10%以上の数値が出ています。会社都合には、倒産やリストラなどといった、個人では対処しきれない問題が挙げられます。
・職場の人間関係
10代の男性では31.7%とほかの世代と比べても断トツの結果に。年齢が高くなるにつれて減少傾向にあり、若い世代ならではの理由といえるかもしれません。女性のほうが多い傾向にあります。
・仕事の内容に興味を持てない
10代~20代後半の男性に多いです。入社当時の志望動機と、会社の事業が結びつかないことによるモチベーションの低下が主な原因に挙げられます。
・能力・個性・資産を生かせない
20代~40代までの男性はほぼ5%以上ですが、50代は2%以下。自身の求める仕事ができないフラストレーションが退職に繋がるようです。
・介護・看護
全年代で少なめですが、40代後半以上になると1.5%を超えます。親の年齢が重なる中高年層にとっては避けられない理由であり、特に女性に多い結果が出ています。
・結婚
20代後半の女性で10%を超えています。従来までは、女性の一般的な退職理由でしたが、女性の社会進出が進む昨今では減少傾向にあるようです。
・出産・育児
基本的に女性のほうが多い理由ですが、40代前後までは男性もいます。「主夫」という言葉が登場しているように、今後男性の比率が増加するかもしれません。
本当に転職すべきと感じた時は転職しよう
厚生労働省が発表した退職理由をみると、ほとんどがネガティブな理由です。ネガティブな気持ちを抱えたままでは仕事のモチベーションが下がり、さらには生産効率も落ちてしまいます。これは、本人にとっても会社にとってもよくありません。転職することでこういった問題が解決でき、将来の道が開けるという強固な気持ちがあるならば、転職をおすすめします。ただ、退職はキャリアを傷つける可能性があり、必ずしも転職することが最善の策だとはいえません。さまざまな要素を熟考した上で、決断するようにしてください。
転職は、現在勤務している会社の不満を解消するための最適な方法になり得ます。実際に、転職をしたことで満足できる生活を送っている人がいるのも事実です。しかし、現状の問題を軽視したままにすれば、転職先でも同じ不満に悩まされる可能性があるので、退職を検討するときには理由をきちんと見定めるようにしましょう。