退職金とは、社員が退職した際に会社から支払われるお金です。ただし、通常の仕事に対する賃金とは違い、法律で支払いが義務付けられているものではありません。退職金制度を取り入れている会社と取り入れていない会社がありますから、入社時に確かめておきましょう。
退職金の支給は法律で定められたものではありませんから、金額も、いくら払わなければならないという決まりはありません。とはいえ、経営者の気分で「この人には支給しない」「この人はたくさん支給しよう」などと決められるものでもありません。会社の退職金規定に従って、勤続年数やそれまでの給与額などによって定められています。
退職金には税金がかかる
退職金は、勤続年数によっては数百万、数千万円にのぼることもある巨額のお金です。しかし、仮に「退職金は1,500万円です」と言われたとしても、それが全て手に入るというわけではない場合があるので注意しましょう。
通常の給与も、月額30万円支給されたとしても、その全額が口座に振り込まれるわけではありませんね。実際に手にできるのは、そこから、社会保険や所得税、住民税などが差し引かれた金額です。退職金にも、同じように差し引かれる項目があります。ただし、高額に及ぶ場合があるため、勤続年数によって控除措置が用意されています。
退職所得控除の額は、勤続年数が20年以下の場合は、40万円×勤続年数(2年以下の場合は一律して80万円)、20年以上の場合は、800万円+70万円×(勤続年数-20)となります。
たとえば、22歳で就職し、65歳で定年退職した人の場合は、退職所得控除の額は800+70×(43-20)=2,410万円です。これを超えた金額に2分の1をかけた額が退職所得となり、その分にのみ住民税と所得税がかかります。したがって、退職金の支給額がこれ以下の場合は、税金等はかからず、全額を受け取ることができるということです。
なお、退職金にかかる所得税も、源泉徴収の対象となります。そのため、退職金に関しても、退職所得の源泉徴収票が会社から発行されます。これは、所得税がかからない支給額の場合にも発行されるものですから、届いているかどうかを確認しておきましょう。
退職金にはいくら税金がかかるのか
退職金の所得税は、退職所得の金額×20.42%、住民税は退職所得の金額×6%(市町村民税)+退職所得の金額×4%(都道府県民税)となります。退職金の金額や勤続年数を入力すると自動計算してくれるツールなどもありますから、退職金の受け取り額や税金額が気になる人はチェックしてみてください。