フレックスタイム制は、1988年に設けられた当初、新しい働き方として大きな注目を集め、現在も導入している企業が数多くあります。そのメリットやデメリット、実際どのような働き方になるのかということについて、改めて確認してみましょう。
フレックスタイム制の働き方
フレックスタイム制とは、1カ月の総労働時間を定め、その時間内であれば始業から終業までを個人の判断で決められるという制度です。 通常、会社の就労時間は就業規則によって定められていますが、フレックスタイム制を導入した場合、この時間の制限がなくなります。「コアタイム」と呼ばれる、絶対に会社にいなくてはならない時間と、定められた時間内ならいつでも出勤&退勤できる「フレキシブルタイム」が設定されている場合もありますが、設定しなくてはならないという規定はありません。
裁量労働制との違い
裁量労働制とは、専門業務型や企画業務型の職種に多くみられる、一切時間に縛られない働き方です。仕事をする時間ではなく仕事量に重きを置いた労働制度となります。 始業から終業まで就労時間が決められているのが一般的な働き方です。これに対し、始業から終業時刻は自身で決めて良いが1カ月に就業すべき時間は決められているのがフレックスタイム制、働く時間は個人の判断に任されているのが裁量労働制となり、それぞれに大きな違いがあるのです。
フレックスタイム制のメリットとデメリット
フレックスタイム制には、メリットもデメリットも存在しています。
・通勤時間がずらせるので、ラッシュが避けられる
・時間管理を個人でしっかりしないといけない分、プライベートの予定が立てやすい
・残業時間が少なくなり、会社として節約できる
・取引先や、社内の他部署との連携が取りにくい
・時間管理ができず、時間にルーズになる人もいる
・上司やリーダーなどが遅い時間帯に出勤する場合、早く来た人が長時間労働になってしまうことがある
このようにフレックスタイム制については、良い面も悪い面もあり、実際に働く社員の間からも賛否両論の声が出ています。
フレックスタイム制の現在
フレックスタイム制が設立された当初、導入していた会社も、見直したり廃止したりといったケースが増えてきているようです。バブル景気の時代には、フレックスタイム制は、プライベートと仕事の両立ができる、効率よく働けるなどともてはやされました。しかし、景気が悪化し、仕事の効率をより重視するようになると、社内の連携が取りにくい、光熱費や管理費、警備費といったコストが余計にかかるといった問題から、時節に合わないという判断が下されるようになり、大手企業の中にもフレックスタイム制を廃止する企業が複数出てきています。 今後、フレックスタイム制を導入する会社は減少していく傾向にあると言えるでしょう。