残業時間の上限がなくなる? 残業代ゼロの『日本型新裁量労働制度』が導入されるとどうなるの?

残業時間は労働基準法により上限が決められています。しかし今、政府では一部のビジネスパーソンの労働時間の規制を外した『日本型新裁量労働制』の導入に動いています。『日本型新裁量労働制』が導入されると、残業には上限がなくなってしまうかもしれません。従来からある『裁量労働制』とは、どのように変わるのでしょうか?

『日本型新裁量労働制』

残業時間は労働基準法により上限が決められています。しかし今、政府では一部のビジネスパーソンの労働時間の規制を外した『日本型新裁量労働制』の導入に動いています。
『日本型新裁量労働制』が導入されると、残業には上限がなくなってしまうかもしれません。従来からある『裁量労働制』とは、どのように変わるのでしょうか?

『日本型新裁量労働制』の導入

日本には業務の性質上、労働時間の配分を労働者の裁量に委ねる『専門業務型裁量労働制』という仕組みが存在します。ただしすべてのビジネスパーソンが対象ではなく、一部の業務が対象です。対象となるのは新商品・新技術の研究開発業務、衣服・工業製品・広告などのデザイナー、放送番組・映画のプロデューサーやディレクター、ゲームソフトの創作業務、公認会計士、弁護士などです(資料P.2)。
しかし対象の業務に就いていても、労働基準監督局に届出をしなければ、裁量労働を適用できません。労働基準監督署には対象の業務や1日のみなし労働時間などを申請します。そして申請が受理されれば、会社は対象業務に対して、指示をしてはいけなくなります。
労働者側のメリットは『自分のペースで仕事ができること』です。特に現在の専門型業務の多くはクリエイティブ系。周りから口を出させず、自分のペースで期日までに仕事をこなせばいいというわけです。
これには会社側にもメリットがあります。それは『残業代を出さなくていい』こと。労働基準監督署に届け出る際には1日のみなし労働時間を提出しますが、この労働時間を越えても残業代を払う必要がありません。ただし労働者の福祉・健康を確保するための措置はとらなくてはいけません。
現在の『専門型裁量労働制』は、業務が限定されているので、どの会社でも導入するというのは難しそう。しかし今導入が進められている『日本型新裁量労働制』では、業務の規制を取り払おうとしているんです。

規制が取り払われたら、今まで以上に長時間労働に?

ある弁護士は「今まで残業代を払わずに違法な働かせ方を行っていた企業は、これまで以上に堂々と労働者に長時間労働を強いる」「これまで残業代を支払っていた企業でも、際限なく長時間労働を強いることになりかねない」と言います(弁護士ドットコム 2014年2月4日付)。
まずは今春、年収1000万円以上のビジネスパーソンを対象に、新裁量労働制を試験適用する方針です。『裁量』とは『その人の判断によって処理すること』。長時間労働、残業代なしにすることが『裁量』ではありません。
この春から始まる試験運用、対象になっていないビジネスパーソンも、注目しておく必要がありそうです。


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