安倍政権の経済政策、『アベノミクス』が動き出しました。世界からも長年の経済低迷に終止符を打つものとして注目が寄せられています。
ところで、ここに盛り込まれた成長戦略には、これからの就職や転職を考える上で無視できない問題提起が、たくさんあることにお気づきでしょうか。成長戦略は、日本経済の再生を進めていく上で重点産業となるビジネスへの育成策をまとめたものですが、それを進めていけば必然的に新しい仕事のフィールドや新しい職場の出現につながってきます。医療産業に例をとってみましょう。
有望産業が手ぐすねひいている
新しい医療産業のカギになるのは山中教授(京都大学)のノーベル賞受賞で話題になった再生医療。iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った再生医療をどう飛躍させていくか。この分野ではバイオ・ゲノムの技術を使った再生医療製品の実用化や医療サービスのパッケージ化も大きなテーマになるのですが、日本は欧米だけでなく韓国にも遅れをとっているのが実状です。再生医療の市場規模は50年後には世界全体で50兆円をはるかに超えると予測されています。
成長戦略において医療ビジネスはほんの一例にすぎません。環境、資源、エネルギー、航空宇宙、農業製品、産業・社会インフラ、さらにはコンビニ、宅配など日本固有のサービスシステムの輸出など、数え切れないほどの有望産業が手ぐすねひいており、今後の国際競争力を高めていくものと予測されています。
ここ10年は日本経済が劇的に変化する
こうした未来の芽の前に立ちはだかっているのが『規制緩和』という課題です。政府は一定の地域で情報通信、金融、貿易などのルールを動かしていく『経済特区』の制度を活用することで突破していこうと考えています。
もうひとつ、これからの日本を占う上で忘れてならないのはTPP(環太平洋連携協定)の交渉の行方です。太平洋沿岸の12カ国に遅れて交渉参加した日本は、これから農業をはじめ、食品、保険、郵政などのルールづくりの議論を始めることになります。こうした内外の事情を考えれば、ここ10年ほどは日本経済が未曾有の変化を遂げる時代。就職や転職においても、『今』だけでなく『将来』を見すえた職業選択の目が不可欠といえるでしょう。
どの企業が、どんな分野に挑戦していくのか。隣りの八百屋がいつライオンを売り出すか分からない時代なのです。求人情報だけでなく、新聞・テレビの報道も要チェックです。