扶養家族がいると、所得税が軽減される『配偶者控除』制度。結婚して妻が働いていない場合、夫の所得額から控除額を引くことで、夫の税金が安くなる制度です。
しかし今、政府は配偶者控除の見直しを始めています。妻が扶養家族でなくなると、税金はどのようになるのでしょうか?
『配偶者控除』とは、専業主婦がいる世帯の所得税を軽減する制度。専業主婦の収入が38万円以下の場合、現在は38万円が控除金額となっています。税金の計算をする際、夫の所得から38万円が引かれ、その分所得税が軽減されているという仕組みです。
よく主婦がパートに出る場合「年収が103万円を超えないように」という話を耳にします。もしも主婦がパートに出て給与をもらう場合、パートの給与からは『給与所得者控除』が引かれます。給与所得者控除は、給与収入が180万円以下の場合、収入金額の40%または65万円です。
夫の税金を軽減するためには、妻のパート収入が、配偶者控除の38万円と給与所得者控除の65万円を足して103万円を超えないようにすることが必要なんです。103万円を超えなければ妻に税金は掛からず、さらに夫の所得税も軽減されるということですね。
配偶者控除の縮小・廃止議論がスタート
政府は『配偶者控除』の見直しの議論に入り、縮小・廃止の検討を指示しました(毎日新聞4月14日付)。仮に廃止になってしまうと、妻がパートに出ていなくて無収入だった場合、これまでは夫の給与から38万円控除されていたものがなくなり、夫の所得税が上がってしまいます。また妻がパートに出た場合も38万円分が無くなり、年収が65万円を超えた段階から、妻に税金が掛かってしまいます。
なぜ縮小・廃止の検討に入ったかというと、女性の社会進出を促すため。今までは妻がパートなどで働いていても、控除を受けたいから「103万円以上は稼がない」という人が大半でした。しかし年収103万円以下だと、会社において重要なポストに就くことはなかなか難しいもの。今よりも女性が社会に進出するためには、103万円の壁をなくしてしまえばいいのではないか??というのが、配偶者控除の見直し議論の理由でした。
日本の将来の家族像はどうなる? 議論に注目!
確かに日本では、女性の社会進出は世界各国と比べると、あまり進んでいません。しかし、控除などがなくなると、夫婦共働きが大前提になりそうです。もしかすると、夫婦ともに仕事に追われ、家事の分担や子育てなどが今以上に大変になってしまうかもしれません。
配偶者控除縮小・廃止議論は税金の面からだけではなく、日本の未来の家族像を描くためにも、注視していかなくてはいけませんね。