いじめは学校だけではなく、会社においても問題となっています。しかしいじめを無くそうとしてもなぜいじめが始まったのか、明確な理由が分からない場合も多くあります。
今いじめ発生のメカニズム研究が進んでいます。いじめが発生する要因は、いじめられる本人よりも、加害者を取り巻く環境にあるようです。
国立教育政策研究所では、学校におけるいじめに関する追跡調査を行った『いじめ追跡調査2007-2009 いじめQ&A』を発表。第三者には見えにくいいじめの問題に対して、時間を掛けて追跡調査を行うことで、いじめ発生のメカニズムの解明に取り組んでいます。
この調査の結果、いじめ加害者にかかる『ストレス』が、いじめを発生させる大きな要因だと考えられています(いじめ追跡調査 10P いじめに向かわせる要因は何か)。どのようなストレスが、いじめを発生させるのでしょうか?
学校でのストレス要因は4つある
学校においてのストレッサー(ストレスをもたらす要因)は『勉強』『教師』『友人』『家族』の4つ。例えば『勉強』の場合「テストの結果が悪かった」ということは、ストレッサーとなります。『教師』なら「先生がひいきをしている」、『友人』なら「悪口を言われた」、『家族』なら「成績のことでうるさく言われた」という具合です。
ストレッサーからの発言や行動がストレスを蓄積させ、いじめ加害に繋がっていると考えられています。そして競争的な価値観が高くなるとよりストレスを高めます。これらストレッサーの一部を置き換えると、会社でいじめが発生してしまう要因も見えてきます。
学校を会社に置き換えて、ストレッサーを探る
会社の場合、勉強は『仕事の成績』に、教師は『上司』に置き換えることができます。例えば営業職の場合「今月の成績が悪かった」こと、所属している部署で「上司がひいきしている」ことがストレッサーになります。もしもあなたが上司であれば、部下全員を平等に扱うことが大切です。
そして昨今では、実力成果主義を取り入れる会社が多くなっています。実力成果主義は競争的な価値観が高くなり、ストレッサーを高めているのではないでしょうか。過剰な実力成果主義を取り入れてしまうと、競争的価値観の高まりから、いじめが発生しやすい環境になってしまうかもしれません。会社においていじめを発生させない環境を作るためには、まずストレッサーを緩和させることが必要です。
いかに職場でストレスを感じさせない環境を作るか。これが会社でいじめを発生させないための、大きな鍵となるかもしれません。