最近、メディアで取り上げられることも多いマタハラは、正式名称をマタニティハラスメントと言います。セクシャルに関する嫌がらせであるセクハラや、力関係における嫌がらせのパワハラと同じように、職場内で起きるマタニティ関連の嫌がらせがマタハラに該当します。
セクハラやパワハラでも同様のことが言えますが、「嫌がらせ」と「コミュニケーション」は、受け取る側の意識によって変わってしまう部分もあるものです。相手が嫌だと思えばそれは嫌がらせに該当してしまいますから、知らず知らずのうちにマタハラを行ってしまわないように注意しましょう。また、マタハラを受けた場合、泣き寝入りすることがないよう、事前に対処法を学んでおくことも大切です。
どんなことがマタハラになるのか?
マタハラとして報道されることが多いのが、育休や産休の取得を認めないケースです。これは、単なる嫌がらせにとどまらない労働基準法違反となります。
女性労働者が申し出た場合、出産予定の前に6週間、出産後に8週間の休業を取れるというのは、労働基準法に定められていることですから、会社はこれを与えなくてはいけません。もちろん、自己都合退職を迫ったり、休業されると困るなどとプレッシャーをかけたりすることもマタハラです。もしこういった事例に直面して自己解決が難しい場合は、都道府県の各労働局の相談センターなどに相談しましょう。
また、妊娠しているにもかかわらず、重労働を行わせたり、長時間立ちっぱなしの作業をさせたりすることも、男女雇用機会均等法によって制限されています。妊娠していて、軽作業労働への転換を希望しているにもかかわらず重労働を強いられることや、体調不良の際に休憩を認めないことも法律で禁止されています。こうした場合にも、本人からの訴えで改善がないようであれば労働局に相談しましょう。
妊娠によって、配置転換が行われるケースもあります。もちろん、体に負担のない部署への異動や、将来の時短勤務などに対応しやすくなる部署などへ、本人の了解があった上で異動するのであれば問題はありません。しかし、どうせ将来は大して働けないだろうという根拠のない理由での配置転換や減給は認められていません。
マタハラをしない、させないために
妊娠した社員を心配するあまり、気を利かせたつもりで勝手に配置転換を行ったり、人員が減ることによる不安感からついつい「仕事に支障が出る」などと発言してしまったりといったことは、誰にでもあり得ることです。知らず知らずのうちにマタハラを行ってしまわないよう、一度冷静に相手の気持ちを考えてみてください。また、マタハラを受けてしまった側が、「不快である」とはっきり伝えることも大切です。