世界を相手に仕事をする――。
日本の会社も国際化が進み、海外の人と仕事をすることが増えてきました。そこで英語力を上げようと努力しているビジネスパーソンは多いと思います。
しかし本当に世界を相手に仕事をするなら、磨かなければいけないスキルが他にもあります。それが『グローバル・コミュニケーション』能力です。
英会話ができることが『グローバル・コミュニケーション』ではありません。もっとも大事なことは「相手に自分の主張を伝える」ことです。これはよく言われる『コミュニケーション能力』と同じこと。しかし、日本の企業にはコミュニケーション能力が育ちにくいという性質があります。
例えば会議中、反対意見があるものの「空気を読んで」反対意見を言わないという経験をしたことはないでしょうか? 実はこの「空気を読む」ということが、「自分の主張を伝える」というコミュニケーションを阻んでいます。
このような日本独特の文化の問題から、コミュニケーションの本質を見出そうとする1冊が『わかりあえないことから』(平田オリザ著・講談社)です。
本書では、日本の企業が求めている『コミュニケーション能力』は2つあり、それらは互いに妨げあっているといいます。1つは先の会議のように空気を読む、上司の意図を察して機敏に行動する、和を乱さない、といったコミュニケーション能力。もう1つは、『自分の主張を伝える』という相反する能力です。
これらの矛盾を超えて、本当のコミュニケーション能力を身に付けるにはどうしたらいいのか、本書はこの問いに答えてくれます。コミュニケーション能力を磨きたい方に、ぜひ手にとって欲しい1冊です。
正しいコミュニケーション能力があれば、世界でも通用する!
この本では『グローバル・コミュニケーション』を『異文化理解能力』と捉えています。『異文化理解』に必要な能力は、異なる価値観、文化を持った人に対しても「相手に自分の主張を伝える」力だと言います。そして相手の意見を聞き、背景を理解した上で説得し、妥協点を見出すことこそが『グローバル・コミュニケーション』の本質だと説いています。
正しいコミュニケーション能力を磨けば、言葉が違っても通じ合うことができます。しっかりと主張を伝えることで、世界に通用するビジネスパーソンを目指してください。