大学での勉強を、そのまま仕事にする。研究員や博士として大学で仕事をすると、将来大きな成功をつかむことができるかもしれません。しかし、大学で研究をしたくても、なかなか研究する場所がない。仕事を見つけることが非常に難しいことが、今問題となっています。
大学で最も大きなポストというと『博士』です。博士になるためには大学院で勉強し、博士課程を修了して博士号を得ることが必要です。しかし、博士号を得るだけでは実質博士とは言えません。博士号を得て、大学で助手などを経験して実績を積み、ステップアップして博士になることができるわけです。
現在では博士号を取得後に『博士研究員』、いわゆる『ポスドク』として研究等の職に就きますが、その多くは任期制。なかなか任期なしの正規職への移行が難しくなっています。
『サイエンスポータル(6月6日付)』が伝えた所によると、任期があるポスドクから、任期がない正規職員へ移行する比率は男性で7.0%、女性で4.4%、男女平均で6.3%と非常に低いものになっていました。年齢別で見ても、35?39歳の正規職員移行率はわずか7.2%(本文グラフ2)。ポスドクとはいえ、博士号を取得した人たちです。長い期間勉強してやっと博士号を取ったにも関わらず、仕事には任期があり、正規職員になかなかなれない現状が見えてきます。
しかしこの状況、私たちの近くにも存在しています。それが『資格』です。
資格を取っても仕事にありつけない現状!
今世の中には様々な資格が存在しています。そして資格を取ると「仕事がある、たくさん稼げる」というような売り文句も数多く目にします。
しかし実際には、有資格者が多くて、仕事にありつけないといったこともあります。例えば税理士や弁護士、会計士などはたくさん稼げるというイメージがあると思います。ところが現実にはマーケットが縮小しているのに有資格者が多く、少ない仕事を奪い合わなくてはならない状況にあります(参考:東洋経済ONLINE 3月24日付)。
資格取得の前に、資格の取り巻く状況を把握しよう!
様々な資格があるおかげで「資格を取って転職しよう!」と考える人も増えてきました。しかし取得を目指す資格が、本当に仕事にありつける資格なのか、市場での需要はどうなっているのか、しっかりと把握しておく必要があります。
今の仕事のために資格を取るなら考える必要はあまりありませんが、転職を考えた資格取得の場合は、その資格を取り巻く状況をしっかりと把握しておきましょう。