自分と係わりのある人に対して、「この人は社会人として基礎がしっかりしている」または、「全然できていない!」などと感じることがあるかもしれません。
こういった社会人として基本的な姿勢やマナーのことを、一般的に「社会人基礎力」と呼ぶ場合があります。この「社会人基礎力」とは、具体的に何を指しているのでしょうか?
ここでは、社会人基礎力の本質についてお教えします。自分にもそのスキルが身に付いているかどうか、改めてチェックしてみましょう。
そもそも社会人基礎力とは?
一般的に社会人基礎力というと、「時間を守る」「あいさつがきちんとできる」「報告・連絡・相談ができる」など、マナー面を想像する方が多いでしょう。もちろん、これらは社会人として重要なスキルではありますが、社会人基礎力の中のほんの一部に過ぎません。
経済産業省は、社会人基礎力を「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」と定義づけており、これらを構成するのは「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」であると提唱しています。この3つの要素はさらに12の能力要素から構成されています。
「3つの能力」と「12の能力要素」とは?
上述した3つの能力を細分化すると下記のような能力要素に分けられます。一つ一つを具体的に見ていきましょう。
(1)前に踏み出す力(アクション) ――主体性・働きかけ力・実行力
前に踏み出す力は、自分の力で物事に取り組む力です。常に目的や目標を掲げ、それに向かって主体的に行動していくことができるか、それを個人だけで完結させるのではなく周りの人へも働きかけられているか、などが求められます。
(2)考え抜く力(シンキング) ――課題発見力・計画力・創造力
考え抜く力は、自分に与えられた仕事の中で疑問を持ち、それに伴う課題を見つける力です。どんな仕事にも常に課題があり、それを解決するというプロセスを踏むことが、会社の成長、そして自身の成長に結び付きます。
(3)チームで働く力(チームワーク) ――発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力
組織はあくまでも、一人一人が支え合いながら取り組むことが大前提です。どんなに高いスキルを持った人間であっても、それが個人プレーになってしまえばチームの輪を乱すことになりかねません。周りの意見に耳を傾けられるか、自分の意見を相手に伝えられるかどうかが、大きな鍵となってくるでしょう。
基礎力ってどうすれば身に付くの?
自身の社会人基礎力を磨くためには、まず上に挙げた12項目のうち、自分にはどれが備わっており、どれが不足しているかを理解することが大切です。
どんな人であっても、完璧ではなく、必ず得意・不得意はあるものです。得意とする分野を伸ばしつつ、苦手とする能力のレベルアップを図るよう、日々取り組みましょう。
覚えておきたいのは、社会人基礎力の中でも特に重要視されるのが「主体性」であるという点です。
ある調査によると、社員に求めるスキルの第1位となったのが「主体性」で、その数値は約84%にも及ぶという結果が出ています。
どんな企業であっても、主体性を持って行動できる人間を求めていることに変わりはないようです。
ここまで紹介した事項をもとに、改めて自身にどこまで社会人基礎力が身に付いているか考えてみましょう。自身のスキルが充分でなければ、転職しても同じことの繰り返しになりかねません。転職する前に、自身の社会人基礎力をチェックしてみましょう。