入社数年で年収が急激に上がる業界といえば、コンサルティングや金融、IT、商社などが代表的である。特に、銀行や商社などに新卒で入社した場合、20代後半から30代で年収1000万円は当たり前。その後、初めて実力差が表面化し始め、1000万円レベルで終わるか、1000万円後半まで稼げるかに分かれていくというのが実状だ。
一方、コンサルティング業界は「UP or OUT」の厳しい世界。結果を残せなければ給与が下がるのはもちろん、退職せざるを得ない状況に追い込まれることも。また、金融や商社においても、在籍しているだけで給料が上がる時代ではなくなっている。結果を出せなければ、40歳を過ぎてから徐々に減給していく動きも現実化しているのが現状だ。
とはいえ、日本の伝統的な企業の場合、年収以外の手当が充実しているというメリットも見逃せない。銀行や証券の営業職は転勤が多いため、本給以外の住宅手当が手厚い。さらに、社内預金制度や、行員を対象にした特別な住宅ローンなどの福利厚生は、金融業界ならではの利点だ。
新卒採用のみだった企業も業務経験者の採用に着手
カマボコ型の給与カーブを描く業界の転職動向は、概して活発だ。金融業界は、リテールやホールセールの営業職の採用に熱心。特にリテールに関しては、多くのところが採用を強化している。
また、特に活性化しているのがコンサルティング業界だ。戦略ファームでは、アナリストの上位に当たるコンサルタントクラスの採用が活性化。「東大や京大、早稲田、慶應卒で、MBAホルダーであること」という学歴が採用の裏条件≠セったファームも、最近は実務レベルで経営に携わっていた人材を求める傾向が顕著になっている。事業会社で新規事業の立ち上げを担っていた人物や、経営企画部署で会社の変革を立案していた人材であれば、需要は高い。転職後の年収も800?1000万円レベルが期待できるという。
近年では、定着率を上げるために、ポテンシャルの高い若手を中途で採用し、育てていこうとする傾向も強い。特にこの傾向は、ITコンサルティング会社で顕著である。ただし、採用されるのはSE経験者やプロジェクトマネジャークラスが中心。IT導入の現場でのマネジメント経験と、コンサルタントとして必要な問題発見・解決能力などが、高いレベルで求められる。
成功のキーワードは“UP”し続ける逞しさ
結果を出せなければ、退職せざるを得ないのがコンサルティング業界。“UP or OUT”と呼ばれ、期末には「給与・ポジションが上がるか、退職するか」が決まる状況に追い込まれる。常に胃が痛む日々を過ごすことに嫌気が差して、業界から足を洗うコンサルタントも少なくない。
そんな元コンサルタントたちは、業界を“OUT”した後、どこへ向かうのだろうか? 経験年数の浅い若手のうちから結果を出したコンサルタントは、アーリーリタイアして稼いだ大金で長い余生を暮らすことも可能。しかし、そんな人はほんの一握り。向かう先の多くは事業会社の経営企画室。今まで培ってきたスキルを活かしながら、主体となって企業変革の中核を担う――。事業会社でふたたび息を吹き返す元コンサルタントも少なくないという。
“UP or OUT”の選択を会社に委ねるのではなく、自分で決める。そんなコンサルタントになることが、年収アップ転職を実現させるカギを握るのかもしれない。
転職力診断であなたにおすすめの求人をご紹介!