マネジャーになったとたんに年収が急激に上昇するエビゾリ型=Bこういった上昇カーブを描く業界は、日系の電機や自動車、通信など、いわゆるオールドエコノミーと呼ばれる業界に多い。年収自体は、30代前半で500?800万円と、他業界に比べるとそれほど高くはない。しかし、生涯賃金という考え方で見ると、決して悪くはないといえる。
注意したいのは、過去に大幅リストラや、新卒の採用を手控えていた業界であるということ。社内の年齢バランスがゆがんでいる企業も多く、どこかにひずみが生じている可能性もある。最近は、このひずみの解消を目的とした中途採用に重きを置いている企業も多い。
福利厚生は、オールドエコノミーならではの充実感。整理が進んでいるとはいえ、社宅や保養所、長期休暇など、他業界をしのぐ充実ぶりだ。
給与にモチベーションを求める人はつらいかもしれないが、「若手のうちは勉強」と割り切ってスキルを積むことを目標とすれば、将来的には必ず大きな仕事に携わることができるのも、この業界の特徴である。
中途採用の中心は技術職。営業は海外営業が高評価
従来、新卒の採用が大半を占めていた電機や自動車、通信の各業界においても、中途採用は活性化している。キャリア的には、30代前半?40代前半のマネジャークラスの採用が増加。一方で20代の若手層の採用も活性化しているが、その多くは、技術系の専門職。営業職であれば、狙いは海外営業だ。
日本の電機メーカーは、2001年のITバブル崩壊を受けて業績が悪化し、巨額の赤字を計上する企業が続出した。しかし2003年ごろから、デジタル家電の普及により、急速に業績が回復。同じく自動車業界も、米国のビッグ3の低調を尻目に、好業績を保っている。どちらの業界においても、次なる市場として、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)が注目されている。その海外市場に対し、どう営業を仕掛けていくかを考えることができる人材は、特に電機や自動車業界において、高く評価される傾向にある。
また通信業界では、携帯電話市場にソフトバンクが参入を果たすなど、劇的な変化があった。同じく、携帯電話の番号ポータビリティ制度導入に伴い、固定電話やインターネットサービスを含めた通信業界全体の勢力図が塗り替えられる可能性もある。もちろん採用も活性化しており、営業職はもちろん、コンテンツプロデューサーやWebプロデューサーの採用も増加している。
額面を上げるだけが年収アップ転職じゃない?
石の上にも3年という言葉もある通り、我慢することも年収アップ転職には必要な時がある。もちろん、額面を重視するのであれば、エビゾリ型は得とはいえない。しかし、物は考え様。給与は低くても、実労働時間を短縮できれば、実質的な年収アップを実現できるのだ。
誰もが1度は計算してしまう給料の時給換算。「俺の時給はバイト君よりも安いのか……」と、絶望的な気分になった人もいるだろう。転職のきっかけが時給換算をしたことという話も少なくない。そんな時には、転職して額面を上げるのではなく、働く時間を減らすという選択肢もありだ。
社員数も数人のベンチャーから大手のメーカーへ転職すれば、プライベートの時間をたっぷり取ることができるかもしれない。「仕事はほどほどに、余暇を充実させる。お金があっても幸せそうじゃない人もいるでしょ?」。そんな志向を持つ人は、実労働時間減の転職で年収アップを実現させる――。それが本当のワークライフバランスといえるのではないだろうか。
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