若手から管理職まで、どのステージでも安定的に給与が上がっていき、年功序列の色彩が最も濃いのが、安定型≠ナある。このような年収カーブを描く業界としては、鉄鋼や建設、食品などが挙げられる。一時期、斜陽の業界とも言われた鉄鋼業界は、中国の鉄鋼需要の急激な拡大に牽引され、業績を回復。また建設業界も、景気の回復に歩調を合わせるかのように業績を回復し、都心の再開発などの大規模な案件に支えられて好調を維持している。
また食品も、2010年を境に日本の人口が減ると見られている今、新たな成長機会を求めて、中国市場などをターゲットにした輸出に拍車がかかっている。
これらの業界は、大手企業と中堅以下の年収レベルが大きく違うのが特徴だ。例えば、大手企業であれば30歳で年収700?800万円程度が期待できるが、中堅以下の企業の場合、30歳で年収500万円前後が平均的。ただし、労働組合がある企業が多いため、本給は高くないものの、労働時間はそれなりに短くおさえられている。また、保養施設や休暇制度などの福利厚生面も充実。ガツガツ働くのではなく、1つの仕事にじっくりと取り組みたいという人に最適な業界だといえるだろう。
対企業の営業経験者は企画職種への転身も可能
これらの業界の求人は、営業職が中心。異業界転職も珍しくなく、積極的に採用する傾向にある。最もつぶしが利く≠フは、B to Bのルートセールスの経験者。扱ってきた商品やサービスは違っても、対企業の営業のコツや人脈を抑えている人材であれば、引く手あまただ。また、これらの業界の多くは、団塊の世代が次々と退職する2007年問題に直面している。そのため、営業部署を統括できるようなマネジャークラスの採用が増大する可能性もある。
ただし、採用のコアターゲットは、第二新卒から20代後半まで。営業の基礎は身につけている年代を採用し、育てようとする企業が多い。
一方で、食品などの各種メーカーで人気の職種といえば、商品企画やマーケティングである。転職を経てこれらの人気職種を目指す人も多いが、企業によっては、業界内の仕組みを理解するため、自社内での数年間の営業経験を必須としているところもある。最初は営業職として入社し、好成績を挙げたあとに企画部へ異動願いを出すという方法をとらなければならないのが一般的だ。
景気回復で求人増! 建設業界は注目業界?
三大都市圏(東京・名古屋・大阪)の地価も、住宅地、商業地ともに16年ぶりに上昇。三大都市圏や地方ブロックの中心都市の都心部を中心に、地価の持ち直し傾向がより鮮明になっている。マンションや商業施設などを中心とした建設ラッシュにより、景気の持ち直しが見えはじめた建設業界。六本木ヒルズや表参道ヒルズなどが立ち並ぶ都心だけでなく、名古屋、大阪など郊外でも建設ラッシュが続いている。
業界の回復基調に相まって、求人数も上向き傾向にある。公共工事は依然減少しているものの、民間の設備投資が追い風となっている。メーカーによる工場増設をはじめ、非製造業でもコールセンター新設などの需要があり、受注が増加している。
現在、技術者以外で採用が活発なのは、メーカーの建設部門で発注者側の責任者として全体のプロジェクト管理者。また、不動産金融業界の各社は、建設業界出身者を積極的に採用している。建設業界に転職後、留まるもよし、さらに転職するもよし。安定を手にしてから今後のキャリアを考えたいところだ。
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