「福利厚生が充実している企業に転職したい!」そんな思いを抱いているビジネスパーソンも多いかもしれません。福利厚生が充実していれば、希望の給与額に多少届いていなくても満足してはたらけることでしょう。
しかし、福利厚生が充実している企業には、なかなか巡り合えないのも現実です。 現在、各企業の福利厚生はどの程度まで充実しているのでしょうか?
厚生労働省が発表した『平成23年就労条件総合調査』では、本社の常用労働者が30人以上の民間企業における1ヶ月の平均労働費用総額を調査しています。労働費用総額とは、私たちが普段もらう現金給与と、福利厚生などに使われている現金給与以外の費用の合計金額です。
平成23年の労働費用総額は43万4083円。そのうち現金給与は35万2018円、現金給与以外の費用は8万2065円でした。平成18年は現金給与以外の費用は8万7738円でしたので、約5千円のマイナスです。しかし、実は労働費用総額に対する現金給与以外の比率は、平成23年は18.9%、平成18年は19.0%とほとんど変わりはありませんでした。(第18表)
ということは、単純に給与が今より高い企業に転職できれば、福利厚生も充実しそうなイメージですね。しかし、現金給与以外の費用の内訳には、大きな変化が起きていました。
『法定福利費』の割合が増え、『法定外福利費』の割合は減っている!
現金給与以外の費用でもっとも多いのは、厚生年金や健康保険など、法律で定められている『法定福利費』。平成10年は現金給与以外の費用の中で法定福利費が占める割合は50.7%でした。それが平成23年には57.1%にまで上がっています。逆に家賃補助など会社独自で実施している『法定外福利費』の割合は平成10年が14.6%に対し、平成23年には10.9%にまで落ち込んでいます。(第19表)
昨今の保険料などの法定福利費の値上げは、企業に対しても大きな負担になっています。その分、法定外福利に使える金額は、少なくなっているという厳しい結果でした。
少子化が進む日本。法定福利が充実していることも頭に入れておこう!
家賃補助などの法定外福利は、働く上でのモチベーションになるかもしれません。しかし日本は、いざというときに役立つ法定福利が充実しているということも頭に入れておかなくてはいけません。法定福利費は確かに高く感じますが、少子化が進んでいる日本です。企業に法定外福利の充実まで求めていくのは、少々難しいのが現実なのかもしれません。