パワハラが社会問題として注目されていますが、裁判ではどのような事例がパワハラと認定されているのでしょうか? 最近では厳しい指導がパワハラと捉えられることもあり、教育担当の方は頭を悩ませていると思います。パワハラ裁判の事例から、パワハラとなるケースを確認してみましょう。
パワハラは、よく「相手がパワハラだと思ったら、パワハラ」だと言われます。しかしそうした場合でも裁判となったケースの一部では、違法性は認められないという判決が出ていることもあります。ではどんなケースの場合、違法性が認められないのでしょうか?
パワハラ裁判で違法性はないという判断が出ることも
平成25年12月に判決が下ったあるパワハラ裁判を見てみましょう。すでに会社を辞めている元社員が原告となり、会社に対して会社の先輩から暴言、暴行等のパワーハラスメントを受けたとして慰謝料を請求しました。
原告は裁判の中で、先輩社員Dからパワハラを受けたと訴えています。その内容の中に『原告はDから徹夜で作業を命じられた上、翌日も通常通り勤務するよう命じられた。Dは「お前の仕事が遅いから、お前がやらなあかん作業を俺がせなあかんようになったやないか」と原告を罵り、謝罪を要求した』とあります。
このDのセリフ、確かに言われた方にとってはパワハラと感じるかもしれません。 しかし裁判では、違法性はないと判断されました。
ちょっと厳しい言葉でも『業務上の指導』と認定された!
徹夜での作業となったのは、原告の重大なミスによるものでした。その上で出たDのセリフは『業務上の指導』として不当なものではないという判断です。確かにセリフだけを取ると厳しい言葉ですが、あくまでも業務上の指導の一環。もちろん人格を否定するようなことは厳禁ですが、ある程度厳しい言葉はパワハラには当たらないんですね。
厚生労働省が運営する『あかるい職場応援団』では、様々なパワハラの裁判事例を紹介しています。上の例のように、裁判でパワハラと認められないケースも紹介していますので、もしもパワハラについて気になる場合は、ぜひ一読ください。
パワハラがない働きやすい職場を作るためにも、いろいろなケースから学ぶことをおすすめします。