出向を命ぜられたら、給与はどうなるのでしょうか? 人気ドラマ『半沢直樹』では、最終回で主人公が銀行から証券会社へ出向させられましたね。会社の命令で他の会社で仕事をすることになるわけですが、この場合給与の金額はどのようになるのでしょうか?
そもそも出向とは『出向元(元の会社)に籍を置いたまま出向先(新しい会社)に赴き、出向先の命令で働く』という仕組み。昔は主に管理職クラスを対象に行われていましたが、最近では、雇用調整や労働力の再配置のために、一般クラスでも出向が行われるようになりました。私たちのようなビジネスパーソンも、会社から出向を命ぜられることが起こりうる時代になったのです。
そこで気になるのは給与です。出向した場合、給与の金額は出向先に準ずることが一般的です。
基本的には出向先の給与水準に合わせられる!
給与などを決める『就業規則』は、事業所単位で作成します。出向した場合は出向先が実際に働く事業所となりますので、出向先の就業規則が適用されます。もしも出向元の給与より出向先の給与が低くても、出向先の就業規則に記載されている給与額に従わなくてはいけません。
このように給与が下がってしまう出向の場合、働く人にとっては不利益につながってしまいます。そのため出向元では十分な説明と、同意が必要になります。もしも出向を命ぜられた場合、会社とじっくりと話し合う必要がありそうです。
一方で出向先の給与が低い場合、出向元の給与を維持するために、出向元が足りない金額を補填するという契約も存在します。
出向元の給与に足りない分は、出向元が補填する契約もある国税庁は法人税法の中で『転籍、出向者に対する給与等』を細かく決めています。この中には『出向者に対する給与の較差補填』についても記載されています(9-2-47)。
例えば出向先が経営不振で、ボーナスが支払われないことが決まりました。しかし、出向元ではボーナスが支払われています。この場合、出向契約の内容によっては、ボーナスは出向元から支払われます。法人税法上では、出向元が支払った出向者への給与は『損金』に参入されることになるという法律ですが、実際にこのような仕組みがあるからこそ、法律として書かれているのですね。
出向元に戻るなら、一時的に給与が下がってもキャリアアップにつながる?
ドラマ『半沢直樹』では、出向はネガティブなイメージで描かれていました。しかし実際にはネガティブなことばかりではありません。例えば将来の幹部候補として、他業種での経験を積んで欲しいということもあるでしょう。一時的に給与が下がってしまう出向でも、将来的にはキャリアアップにつながる出向もあります。
もしもあなたが出向を命ぜられたら、しっかりと説明を聞き、自分のキャリアにつながるのか、将来大きく給与があがる可能性があるのかを見極めることが必要になりそうです。