「収入アップのために、今とは違う職業に転職したい」そう考える若手ビジネスパーソンは多いと思います。では実際に転職すると、年収は上がるのでしょうか?
国の調査を見てみると、職業を変える決意をした理由には、収入以外の要素も大きく関係しているようです。特に最近の若手ビジネスパーソン世代は、なかなか給与も大きく上がらず、転職に気持ちが傾きがちです。転職を果たした若手ビジネスパーソンは、何が理由で転職したのでしょうか?
厚生労働省が発表した『年上半期雇用動向調査』によると、25?29歳の男性の場合、転職した理由のトップは『その他の理由(出向等を含む)』以外では『収入が少ない』で14.4%でした(転職入職者の状況 表4 転職入職者が前職を辞めた理由)。
一方女性の場合は『会社の将来が不安』で13.1%。男性は今の収入が、女性は将来的な不安から転職を決意しているようです。 実際に転職を果たした25?29歳の若手ビジネスパーソン、年収はどのくらい上がったのでしょうか?
25?29歳の転職者のうち37.3%が前職より『収入が上がった』と答えています。また『1割以上上がった』は24.5%と、収入アップを目指した転職の4割近くは成功しているようです。
しかし本当に収入アップだけを目指した転職で、満足できるのでしょうか? 転職した理由の中に、見逃せない項目がありました。
『労働条件が悪い』から転職する人は10%
その項目は、『労働時間等の労働条件が悪い』です。25~29歳の男性は10.1%、女性は11.0%が労働条件を理由に転職を決意しています。そして『労働時間等の労働条件が悪い』という転職理由は、40~44歳になると割合が増え、男性は14.2%、女性は17.3%に上がっています。もしも転職して年収がアップしても、労働時間が長く自分の時間が取れないほど忙しくなると、それを理由に再度転職することになるかもしれません。
『ワークライフバランス』を考えた転職で幸せに?
最近では『ワークライフバランス』という言葉をよく耳にします。仕事をしつつ、自分の時間を確保し、生活にゆとりを持とうということです。「転職は一回だけでいい」と考えているのなら、収入面と同様に、労働条件もしっかり確認した転職がいいのではないでしょうか? 実際に転職者の声を聞くと、転職した理由は決して収入面だけではありません。今の労働環境、収入面など、様々な角度から自分のワークライフバランスが取れているのか、見極めてみましょう。もしもバランスが崩れていると感じたら、転職をした方が将来のためにはいいかもしれません。