先進国の中で一番、女性の活用ができていないといわれるのは日本です。2012年の男女平等『ジェンダーギャップ』の世界ランキングでは、日本の順位は驚くことに101位。前年の98位よりさらに下降して中国、韓国よりも男女のギャップが大きいとされました。たしかに周りを見渡しても女性の上司の下で働いているという男性サラリーマンは少ないのではないでしょうか。第一、いまの安倍内閣でも20人いる閣僚の中に女性閣僚は2人しかいません。(The Global Gender Gap Report 2012)
女性活用のエリート『なでしこ銘柄』
こうした女性軽視の状況は長い間、国際的にも問題視され、日本社会の長年のストレスとなってきました。そういうこともあって、安倍首相は『女性の戦力化』を成長戦略の大きな柱に据え、大胆な施策を次々打ち出しています。企業には新入社員の4割を女性にする法律のアイデアを披露してみせたり、お膝もとの国会でも女性の議席数を割り振る制度の導入を考えたりしています。『育休3年』や『待機児童ゼロ』などの女性支援も加速化してきました。
こうした動きに敏感に反応したのが経済界。東証は『なでしこ銘柄』なる企業グループの選定に動きました。東証上場2200社の中から、管理職に占める女性の割合、育児支援の実態などをポイント化して100社を選出。さらに17社に絞り込んだところで、これら女性の活躍度が目立つエリート企業を『なでしこ銘柄』と名づけました。
女性社員と外国人社員はこれからの経営資源
この結果、東レ、ダイキン工業、積水ハウス、KDDIなど17社が選ばれたのですが、この選出にもれた企業のトップの多くは『なでしこ入り』にハッパをかけたといいます。企業がこれほど女性戦力化に神経をとがらせるのは、女性ならではの発想を取り入れた商品開発やマーケティングが可能になり、国内外のマーケット拡大につながるからです。
女性の戦力化と並んで、特に新卒採用時などに海外人材=グローバル人材の採用積極化も見逃せない動きです。これには日本の大学を卒業した外国人留学生をはじめ、海外大学を卒業した日本人留学生、海外の大学を卒業した外国人が含まれます。こうした人材は、グローバル戦略が不可欠の企業にとって重要な経営資源となる可能性があります。
こうした動きは必然的に、採用や昇進など、新たな競争相手が増えていくことを意味します。遠くのできごとと思っていると、いつの間にか我が身にふりかかるということがないように努力していきたいところです。