戦後の日本を発展させた製造業。『ものづくり』は日本の象徴となり、高度経済成長を成し遂げました。製造業の役割はそれだけではなく、幾度と無く訪れた不況の際には雇用の受け皿となっていたのです。しかしリーマンショック以降の不況と円高の影響は、製造業に大きな打撃を与えてしまったようです。 総務省は毎月、労働力調査を発表していますが、2012年12月分の結果が大きな衝撃を与えています。製造業の就業者数が1000万人を割り込み、998万人となりました。 製造業の就業者数が1000万人を割り込んだのは1961年6月以来、実に51年ぶり。就業者数のピークは1992年10月の1603万人で、約20年で4割も減ってしまったことになります。
製造業の衰退は、失業率にも影響を与える
原因のひとつは電気機器や素材産業、科学製品メーカーの業績悪化を受けて、大規模なリストラが進められていること。もうひとつは円高の打撃を緩和するために、比較的好調な自動車メーカーなどが海外へ製造拠点を移していることです。 また労働力調査と共に発表された2012年12月の完全失業率は4.2%と、8ヶ月ぶりに悪化してしまいました。不況時に雇用の受け皿とされてきた製造業の就業者数減は、完全失業率にも影響を及ぼしてしまっているのです。 日本の製造業は、本当にこのまま衰退してしまうのでしょうか?
製造業の減少が加速した2011年9月の景気感は?
2011年に起こった東日本大震災後の4月から5ヶ月間に渡り、製造業の就業者数は一時上昇に転じました。しかし2011年9月には再び減少に転じてしまいました。 総務省が発表している『景気ウォッチャー調査』によると、2011年9月に行った調査での製造業は、2~3ヶ月前と比べて景気の良し悪しを評価する数値、現状判断DIは46.9でした。これは2011年7月の51.7から約5ポイント減少。また2~3ヶ月先を予測する数値、選考判断DIは44.9でした。 ところが最新の調査では、この数字に改善がみられています。
製造業の現場では、景気の回復を感じている!?
2013年1月の景気ウォッチャー調査での製造業の現状判断DIは47.2でした。これは就業者数が減少を始めた2011年9月と比べると微増しています。また2012年10月には36.5という最低の数字を記録しましたが、10ポイント以上上昇しています。 また、景気の先行き判断DIも57.4と高い数値となりました。2012年10月の39.0から大幅に上がっており、製造業の現場では復活の兆しも見えているのです。 日本の製造業の中には、世界に誇れるモノがあります。レンズや計測器といった精密機械器具は、日本が得意な細かい技術が必要。また今流行のスマートフォンやタブレットといった端末自体と端末に必要な半導体の製造に力を入れ、日本の製造業を立て直そうという動きも、最近では見えています。 製造業の就業者数1000万人割れということ自体は衝撃的な事実です。しかし新たなモノを製造し、日本経済を復活させようという動きも出てきています。製造業の今後に注目です。