業務知識を十分に備えた上で新しい枠組みを創る力が必要
企業でも個人でも、発想力というと柔軟で新鮮なアイデアや手法のことと考えがちだ。仕事に活かすための発想力とは、「大胆さや斬新さではなく、新しいビジネスの枠組みを考えていくこと」と入江氏は語る。
「仕事力とは総合的な能力ですから、発想の豊かさや柔らかさだけでなく、論理的で理にかなっていることが重視されます。2007年に30代の人材が活躍できそうな分野としては、今後成熟へ向かっていく新しいビジネスモデルやIT業界ではないでしょうか」
近年、新たなビジネスモデルの一つとして急成長中なのが、人材紹介事業である。顧客企業の分野・業種が幅広いのに加えて、広告展開や雑誌などの発行、Webサイトの活用など新たなメディアへと手法が広がっているのが特徴だ。
「顧客企業の信頼を得ることと並んで、ユーザーからも評価されることが課題になっています。そのため、様々なバックグラウンドを持った多彩な人材を求めています」
人材紹介ビジネスは、企業が望む人材を幅広く集めるためのノウハウを開拓する一方で、転職を志す人には、必要なコンサルテーションやアドバイスをして満足度の向上に努める。教育や研修まで行う大手から、特定の業界に特化した中堅・中小まで含めて、新規参入も活発で競争は激化している。確かな業務知識と経験を有した上で、「次に必要な試みは何か」を考えられる発想力こそが求められる。
次いで注目されるのはネットやモバイルを含むIT業界だ。
「07年は通信と放送の融合が本格化する一年。個々のコンテンツ作りに留まらず、メディアミックスを一層進化させるための取り組みが求められます。新規事業を立ち上げた経験がなくても、業界でのキャリアや実績が評価される可能性が高いですね」
地上デジタル放送の普及も追い風になり、人材紹介ビジネスと並んで多彩なメディアの活用がカギとなる。やはり業界や業務全般に関する知識や経験を前提に、新たな枠組みからビジネスを創造していけるような資質、能力が優遇されそうである。
「ネット業界でユニークなのは、業界経験がなくても、ユーザーの立場から発想できる人材にも採用の門戸が開かれていること。ですから異業種からの転職でも、基本的なビジネススキルがあって、そのサイトやコンテンツのヘビーユーザーという人を採用するなど、柔軟なところもあります」
次ページで取り上げる顧客思考にもつながるが、既存のビジネスモデルの次にくる事業展開を提案できる視点も必要だ。
成熟期に入るIT業界。一歩抜け出すには発想力
『mixi』や『Yahoo! Days』、アメリカから参入した『MySpace』など、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)という言葉が一般的となった現在。2006年はIT業界において大きな変革の年となったといえる。さらに07年は成長の時代へと突入していく。
IT企業に限らず、多くの企業が競合他社となるIT業界では、他社との差別化を行うために、現在軸にしている事業から幅を広げ、何ができるかを気づくことが重要になる。そのためには、一つのことにとらわれない視野の広さが大切だ。
今までにない新しいことをビジネスとして実現していくためには、発想力と、それを最大限に活かす基本の業界知識が必須だ。
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