退職の意思を上司に伝えるときの例文と引き留めにあったときのケーススタディ
退職の意思を上司に伝えるとき、会社はあなたが辞めることによって新たな人員を確保しなければならないため、引き留められてしまうことも少なくありません。場合によってはトラブルになり、転職できなくなってしまうなんてことも。そうならないためには、退職の意思を伝えたときのパターンを知り、対策をしておくことが重要です。退職意思の基本的な伝え方と、引き留められた場合のケーススタディをぜひチェックしてみてください。
退職意思の伝え方
退職の意思を伝えるのは転職先が決まってから、がセオリーです。
上司や会社との関係性にもよりますが、キャリアについての相談や話し合いをすることと、退職意思を伝えることは全くの別物と考え、きちんと退職の意思が固まり、転職先が決まったのであれば、それを早めに上司に伝えなければなりません。
なかなか言い出しにくいですが、下記例文のように、「退職の意思」と「これまでの感謝」を伝えると角が立ちません。
「自身の将来のことを考えた結果、やりたいことが見つかりましたため、この度、退職することを決意いたしました。突然のご報告となり大変申し訳ございません。
この判断は、非常にわがままであり、大変ご迷惑をお掛けするとは重々存じ上げておりますが、今後は、これまでお世話になりました経験を糧に、自分自身で道を切り拓いてゆくつもりでございます。これまで●●さんには大変お世話になりました。本当にありがとうございました」
引き留められたらどうする!?ケーススタディ
あなたが今いる企業を辞めてしまうことにより、会社は新たな人員を確保するコストが掛かるため、あなたの退職の意思をすんなりと認めずに引き留める場合があります。しかし、引き留めに応じることはさまざまな観点からおすすめできません。前述した通り、キャリアの悩みを相談するのと退職意思を伝えることは別物です。仮に、一度退職の意思を固めたのに引き留めに応じてしまうと、短期的には業務には支障がないかもしれませんが、長期的に見ると退職を試みた事実が上司に不安を与え、今後の昇進・昇格に影響を与える可能性があります。そのため、上司に伝える前に退職の意思を固め、引き留めには応じない姿勢が大切です。どんな引き留めパターンがあるか、確認しておきましょう。
「あなたが必要」と情に訴えかけてくる場合

あなたはこの組織に必要なんだ。
嬉しいお言葉をありがとうございます。しかし、今の私にとっては次の環境に進むことが最適だと考えております。

少し待って欲しいと退職時期を引き延ばされる場合

今は困る。もう少し待って欲しい。
ご迷惑をお掛けしてしまい大変申し訳ございませんが、1ヵ月の引き継ぎ期間を設けており準備も進めておりますので、●月●日に退職させてください。

退職時期に関しては、繁忙期を避けることに注意しましょう。プロジェクトの大詰めや年末などの繁忙期に退職を切り出すと、このように「待って欲しい」と言われてしまう可能性が高いです。また、引き継ぎの期間を十分に設けることも重要です。民法では、日給制・日給月給制・時給制で雇用されている場合は2週間前まで(※)に退職を申し出ることが定められています。しかし、社内規定ではそれより前に申し出ることを定められている場合もあります。なるべく社内規定に従えるよう、退職希望日から逆算し余裕を持って上司に伝えることが重要です。余裕のある時期に退職できるようにタイミングを調整しましょう。
「もう少し」「新しい人が入ってくるまで」という言葉を真に受けて残ることはおすすめできません。退職の話をなかったことにされてしまうことが十分あり得るためです。タイミングを考慮した上で、退職日を確実に決定するようにしましょう。
※完全月給制の場合は、月の前半に伝えればその月末で退職が可能です。年俸制・半期年俸制の場合は退職予定日の3ヵ月前までに退職を申し出なければなりません。
転職先を聞かれた場合

転職先はどこですか?
自分にとっては、今以上にステップアップを望める環境です。

上司に聞かれても、社名を言う必要はありません。社名を挙げると、企業批判をされるなど建設的な交渉とならないケースがあります。
社内規定に違反していると認めてくれない場合

社内規定では、3ヵ月前には退職を申し出る必要がある。
パターン①:分かりました。社内規定を認識しておりませんでした。転職先と日程を調整し、なるべく社内規定に従えるようにいたします。

パターン②:社内規定を知らず、ご迷惑をお掛けしてしまい大変申し訳ございません。2ヵ月でしっかりと引き継ぎを終えられるよう尽力いたしますので、●月●日の退職をご調整いただけませんでしょうか。

ただし、どうしても社内規定に従えない状況の場合は、社内規定よりも民法が優先されます。迷惑を掛けてしまうことをお詫びした上で、退職を認めてもらえるよう交渉しましょう。
※完全月給制の場合は、月の前半に伝えればその月末で退職が可能です。年俸制・半期年俸制の場合は退職予定日の3ヵ月前までに退職を申し出なければなりません。
待遇を良くするから残ってくれと言われた場合

年収・役職をアップさせる。希望のプロジェクト(部署)に異動させる。
ご配慮いただきありがとうございます。しかし、私の中ではすでに心が決まっております。

会社に留まるための交換条件を持ちかけられるケースがありますが、基本的に譲歩の姿勢は見せないようにしてください。この場では希望を通すと言われても、実際には年収アップや異動もすぐには実行されない場合もあります。どうしても判断に迷ったら、無理に回答せずに一旦持ち帰って検討しましょう。
辞めるなんて迷惑だと責められた場合

辞められた方は迷惑する。どう責任をとるのか?
できる限り迷惑をお掛けしないよう、しっかり引き継ぎをします。いろいろ経験させていただいたことを感謝しています。ぜひ次の環境で頑張らせてください。

あなたの転職により、同僚や上司に迷惑が掛かってしまうことは事実ですが、一番優先すべきなのはあなた自身のこと。会社に掛かる迷惑を最小限に留める姿勢を見せた上で、あなたのできることを述べれば問題ありません。
また、このパターンがエスカレートして「損害賠償請求をする」などの脅しを受けた場合は、会社側の違法行為になります。会社は、退職を理由に損害賠償請求をすることはできません。この場合、円満退職は難しいかもしれませんが、毅然とした態度で臨みましょう。
給料や退職金を払わないと脅された場合

今月の給料は払わない。
それでは退職後に請求させていただきます。

給料を支払わないことは違法です。退職後も未払い給与の請求はできるので、シフト表や業務日報など証拠の写しをとり、給与明細書や雇用条件通知書などの資料を手元に集め、退職をしてから請求すると良いでしょう。
退職金規定のある企業であるにも関わらず、退職金を払わないと言われた場合も、退職後に請求することができます。なぜなら退職金規定のある会社は退職金を払う義務があるためです。退職金規定の写しを取得し、会社から「退職金を出さない」と言われたときの連絡書やメールなどを手元に集めて後からの請求に備えましょう。
まとめ
退職の意思を伝える際には、基本的に引き留めには応じず、自分自身の意思を優先すべきです。ただし、引き留める上司の話を全く聞かないのはもちろんNGです。退職の意思を伝えてからも退職日を迎えるまでは働き続けなければなりませんので、人間関係を壊すようなことは避けましょう。
引き留めにあった際には、退職を決意した理由を思い出し、自分の意思を丁寧に伝えることを意識しましょう。
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