仕事も順調に進み、残業しないで帰れるのはうれしいもの。夜遅くまで続く残業は、生活のリズムが崩れるのはもちろん、自分の時間も減ってしまいます。
そんな残業のあり方を変えようと、取り組みを始める企業が現れました。20時以降の残業を禁止してしまおうというのです。
そんな取り組みを始めるのは、大手商社の伊藤忠商事。10月から試験的に、20時以降の残業を原則禁止、22時以降の深夜残業は完全禁止にして職場を消灯するという制度を実施することになりました(Sankei Biz 8月3日付)。
そこで気になるのが、本当に仕事が詰まっていて残業せざるを得ない場合です。そのような場合は夜に残業するのではなく、早朝出勤をして仕事をすることを推奨しています。これまでは5~9時の早朝出勤の割増金は固定給の25%でしたが、これを50%にアップ。早朝の割増金を増やすことで、早く出勤して早く帰宅する、という就業スタイルを目指しています。早く帰宅すれば、自分の時間や家族との時間を増やすことができます。
この早朝出勤制度、海外では定着していますが、日本ではあまり定着していません。早朝出勤制度を定着させるなら、古い習慣を打破しなくてはいけません。
海外では始業時間が早いと、終業時間も早くなっている!
独立行政法人経済産業研究所は『ワーク・ライフ・バランス施策の国際比較と日本企業における課題の検討』を発表しました。この中では、日本とイギリス、ドイツを比較することで、日本の労働時間を分析しています(4(1)労働時間 表5)。
日本の企業の始業時間は8時台が65.8%、9時台が24.9%。8時以降に始業する企業が90%を超えています。逆に8時以前に始業しているのはわずか7%に留まっています。
イギリスでは8時以前に始業しているのは20.6%、ドイツではなんと46.7%になっていました。そしてイギリス、ドイツにおいて、始業時間が早くなれば終業時間も早くなるという両者の関係性が発見されました。
しかし日本には、この関係性は見つけられませんでした。それでもなんとか定時に帰ることができれば、労働時間は短くなるはずです。しかし定時になっても「上司が残業するなら、自分の仕事が終わっていても残業する」というような日本企業の古い習慣を打破していかなくては、伊藤忠商事が取り組む早朝出勤の推奨も、定着していかないかもしれません。
通勤ラッシュの電車に乗らなくてもいい早朝出勤
早朝出勤にはメリットがあります。それは朝、通勤ラッシュの電車に乗る必要がなく、交通トラブルが起きても遅刻する心配がないことです。また通勤時も会社に到着しても、人が少ないので集中できるという方もいます。
早朝出勤を定着させるには、まずは仕事が終わった人は定時に帰れるような環境を作り上げることが大事なのかもしれませんね。