税金を納めることは国民の義務。これは外国でも同様です。今日本では消費税増税の議論が進んでいます。増税されたら使えるお小遣いが減ってしまうという心配もありますが、それ以上に大事なことは増税分の使い道。
外国と日本の税金、使い道はどのように違うのでしょうか?
今議論されている消費税。日本では現在5%ですが、段階的に10%まで引き上げることを計画しています。
外国で消費税にあたる税金は『付加価値税』。国税庁が運営するウェブサイト『税の学習コーナー』によるとイギリスやオーストリアは20%。欧州諸国の多くは約20%の税率を導入しています。税率の高さで目を引くのは北欧の3国。デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの付加価値税はなんと25%! 物を買うたびに25%も税金を納めたら、たまったものではありませんよね。しかし、デンマークは『世界一幸せな国』と呼ばれています。
その理由は高負担である代わりに、福祉が充実しているからです。
ビジネスパーソンにも手厚い、デンマークの福祉
デンマークは付加価値税が高いだけではなく、所得税も非常に高くなっています。最高税率は60.2%で、年収が約510万円以上ある人は適用されてしまいます。稼いだお金の半分以上を税金として納めなくてはいけません。しかし、代わりに得られるのが高福祉です。
例えば失業してしまった場合、日本では失業給付を受け取ることができます。給付率は前職の給与の45~80%。給与が高くなるにつれ、給付率は下がっていきます。そして期間は最長330日。しかしデンマークの場合、給付率は80%、給付期間は4年間と非常に長くなっています。
給付率も高くて期間が長いと失業率も高くなりそうですが、デンマークの失業率は3%程度と非常に低くなっています。これは働く人にも政府の支援があるからです。もしも体を壊してフルタイムで働けなくなってしまったら、柔軟な勤務体系につくことができます。この場合でも給与はフルタイムと同じですが、その給与の半分は政府が負担します。
体を壊して働くことができなければ障害年金で暮らすことも可能ですが、当然給与より少ないので、働いた方がお得です。また政府が払う金額も、障害年金より給与の半分を負担する方が少なくなります。そうすると会社の負担が大きくなると思われますが、会社は社会的責任として、この負担をも受け入れているというわけです。
増税の一方、セーフティーネットは減額の矛盾
消費税が増税されそうな一方で、万が一のための生活保護費は減らされています。負担が大きくなる分、何に使われるのか。透明化していかなくてはいけません。
デンマークではもう1つ、非常に高いものがあります。それが選挙の投票率。常に8割の国民が選挙に行っています。国民が、政府を監視するという関係が整っています。
増税に反対の声が多く聞こえますが、大事なのはその使い道。国民のための増税なのか、しっかりと見届けることが必要ですね。