司法書士の年収のイメージはどのようなものでしょうか?
不動産の登記や裁判所に提出する書類を作成する司法書士。成年後見人という業務もあり、高齢化が進む今後、需要が高まると予想されています。
需要が高まる司法書士は、年収も高く思われがちですが、実際には厳しい生活を送っている司法書士もいるようです。
司法書士は国家資格試験に合格しないと、名乗ることはできない仕事。弁護士、行政書士と並ぶ、法律に関する士業です。
それだけに司法書士試験の難しさはかなり高くなっています。法務省が発表した『平成24年度司法書士試験の最終結果について』によると、平成24年度は2万4048人が受験し、合格者はわずか838人。合格率3.48%と非常に難関です。他の年度を見ても合格率はおおむね3%台で、かなりの勉強が必要です。
そんな難関を突破した司法書士は相当年収が高いのでは? と思いませんか? 司法書士合格を目指すための予備校などでは『年収1000万円!』などと書かれていることもありますが、現実はそんなに甘くはありませんでした。
司法書士試験に合格しても、年収200万円!?
日刊SPA! に掲載された『司法書士、30歳を過ぎても年収200万円台はザラ』という記事が話題となりました。5年前に司法書士試験に合格し、司法書士事務所に就職した人の話によると、30歳を過ぎても年収200万円台はザラだと言います。司法書士事務所は、独立するための修行の場ということだからだそうです。
司法書士試験に合格しても、すぐに司法書士の仕事がたくさんくるわけではありません。それは『実績』がないから。実績を積むためには事務所に就職することになるわけですが、これはあくまで独立への足がかりという位置づけ。それゆえに事務所の給料は安くなっているというわけです。
しかし独立したからといって、大きく年収が上がるかというと、そうでもなさそうです。
独立後は報酬から経費が引かれるので、年収1000万円は程遠い?
日本司法書士会連合会は、全国の司法書士にどの程度の報酬を得ているかアンケートを行いました(報酬アンケート結果一覧)。司法書士ができる仕事ごとに、いくらぐらいの報酬を得ているかを調査しています。
例えば土地を売買し所有権を登記する場合、関東地区の平均報酬額は4万4417円。低い場合には2万円台で受けることもあることが分かりました(P.4)。また成年後見業務開始の書類製作は8万2171円。下位10%では3万214円まで落ち込んでいます。
独立するとこれらの報酬を得られます。確かに平均報酬額で仕事を請ければ収入は上がりそうですが、経費などを考慮すると『年収1000万円』は遠いと言えるでしょう。
超難関の国家試験を通過して国家資格を得ても、事務所への就職、独立と、大きく収入を上げるためには長い道のりがありそうです。そして、独立後も仕事を多く得るために、やはり営業は欠かせないようです。
弁護士よりも身近な法律の相談者として注目を集める司法書士。年収を上げるには様々な努力が必要になりそうですね。