給与の一部が、もしも現物支給だったら、どうしますか?
労働の対価としてお金を貰っているビジネスパーソンですが、中には会社の業績不振で、会社の商品を現物支給されたという話も耳にします。
果たして給与の現物支給は、法律上どうなっているのでしょうか?
労働の対価としてもらう給与。会社から支払われる給料は、労働基準法によって細かくルールが定められています。労働基準法でいう『賃金』は『通貨で、直接、毎月一回以上、全額』を支払わなくてはいけないと事細かに定められています。
労働基準法をこの通りに解釈すれば、当然『現物支給』はできません。
しかし『現物支給』が認められる場合もあります。それは会社と労働組合の取り決めです。
労働協約で『現物支給』が定められている!?
あなたの会社には労働組合はありますか? もしもあるのなら会社と締結した『労働協約』を確認してみてください。
基本的に給与は現金で支払われることになっていますが、労働協約の中で『賃金は現物で支給することがある』と書いてあれば、場合によっては給与が現物で支給されることも可能になるんです。特に小売業や家電メーカーなどで聞かれる現物支給は、実は労働基準法では禁止されていながらも、労働協約が結ばれているので、違法ではないというわけです。
しかしどんなものでも現物支給できるというわけではありません。
現物支給できるものも、細かく決められている!
今労働協約が結ばれていれば、給与を現実で支給していいわけですが、現物支給が許されるためにはなかなか高いハードルがあります。国税庁HPの『給与所得となるもの』では、現物支給と認められないものが記されています。
ひとつは『職務の性質上欠くことのできないもので主として使用者側の業務遂行上の必要から支給されるもの』。例えば会社でパソコンを作っていて、業務に必要なパソコンを現物支給する、ということは禁止です。
また『換金性に欠けるもの』『その評価が困難なもの』も、現物支給できないことになっています。なかなか換金できないものであったり、換金額が定まっていなかったりしたら結局売却できず、生活に困ってしまいます。そういったものは現物支給できないようになっています。
そして『受給者側に物品などの選択の余地がないもの』。会社から一方的に「この商品を給与として……」ということはできません。選択の余地がないものは、現物支給とは認められていません。
本来であればお金で貰う給与ですが、会社の一時的な危機などで、どうしても現物支給を受け入れざるを得ないこともあるでしょう。それでもルールに則っていなければ、違法になります。
もしも給与の現物支給があったとき、ぜひ参考にしてください。