警察は日本の治安を守る大事な機関。危険と隣合せの仕事ですから、さぞや給与も高いのでは? というイメージがあります。公務員のひとつである警察官の給与はいくらくらいなのでしょうか? 調べていくと、全員が高給取りというわけではなさそうです。
警察官は公務員で、階級によって地方公務員と国家公務員に分かれています。大規模な警察署の署長などは上から4番目の階級『警視正』と呼ばれ、警視正以上は国家公務員になります。普段私たちが目にする警察官のほとんどは地方公務員で、給与も地方公務員と同等。勤務地によって給与は異なってきます。
総務省のまとめた『平成23年地方公務員給与の実態』によると、警察官の給与月額合計は47万7711円(第2 統計表1 229ページ)。これだけを見るとかなり高く感じますね。ところがこの内訳を見ると給料月額は32万4966円、諸手当が15万2745円と、手当の額が非常に多くなっています。
手当には扶養手当や地域手当、特殊勤務手当があり、特殊勤務手当には捜査や交通取り締まりといった、勤務に合わせて手当が出るようになっています。
「これだけ手当があるなら、警察官への転職もアリかな?」という方もいるかもしれませんが、給料月額もあくまで平均額。給料月額を上げるには数々のハードルを乗り越えなくてはいけません。
巡査や巡査長など、多くの警官は平均月給に届かない?
警察官の給料月額は、各地方自治体の『公安職給料表』に準じています。給与は『○級○号』というかたちで区分され、級を上げるためには昇格試験などを受けなくてはならず、号は毎年の評価によって上がる、定期昇給のようなものです。
例えば、最近話題になった『DJポリス』。6月にサッカー日本代表がW杯出場を決めたあと、渋谷の該当でマナーを守るよう呼びかけ、有名になった警察官です。東京に勤務する『DJポリス』は、東京都の公安職給料表により月給が決まっています。
『DJポリス』は巡査であると報じられていますが、巡査は公安職給料表では『1級』に当たります。1級の最低月給は1号の16万4600円、最高は101号の31万6200円。最高の101号まで上げるには、平均的な評価を20年続けなくてはいけないと言われています。『DJポリス』は20代ですので、50号程度だと考えても給料月額は25万円に届いていないと予測できます。もしも給料を上げたい場合は、巡査から巡査長への昇格試験を受けて2級にならなくてはいけないというわけです。
給料よりも『使命』を大事にしたい警察官
平均給与だけを見ると高く感じる警察官も『公安職給料表』を見ると、かなりがんばらないと平均には届きません。いくら手当が付くとはいえ、キャリアがない若い警官の給料は低くなっています。
警察官になる人は給料面よりも『市民の安全を守る』という仕事のやりがいを大事にしているのかもしれません。