税金を何年も納め忘れていた場合、税金に時効というものはあるのでしょうか?
納税は国民の義務ですし、国など地方自治体も忘れられないように個人に納税書を送ってきてくれます。それでも忘れてしまった場合、永遠に納めなくてはならないのでしょうか? 実は税金にも時効があります。いったいどのくらいの期間で、税金は時効を迎えるのでしょうか?
税金は全国民の義務ですが、納め忘れた人だけを対象に、永遠に「納めてください!」といい続けることは、通常の業務に支障をきたしてしまいます。そこで法律では、納めていない税金=国税債権に関して期間制限を設けています。その期間とは『5年』。税金の時効は5年と定められているんです(国税庁 国税通則法 第6章 第1節 1)。
5年間納めなければ、税金はナシになる! それなら無視し続ければいいだ! なんて早合点は禁物です。この5年間の時効は手続きを踏むことで中断・停止させることができるんです。
『催告』や差し押さえのための『捜索』で時効は停止!
時効が停止される方法はいくつかあります。まずは『催告』。納付を忘れると催告状が届きますが、この時点でいったん時効は停止されます。次に『捜索』。これは催告状を無視して財産差し押さえのために捜索が入った場合。この場合にも停止します。また『一部納付』をした場合は「残りの分も全部払いますよ」という意思表示となり、時効が中断されるのです(国税庁 第73条関係 時効の中断および停止)。さらに時効が停止する場合として、税金分を全額支払ったものの、延滞金を納めていない場合に適応されます。例えば催告から何年か経って税額のみを納めたとします。しかし何年間かの間に、延滞金が発生しています。この延滞金については5年間の時効は停止されるので、いつになっても納めなくてはいけないというわけです。
これら『税金の時効』。副業をしていないビジネスパーソンなどには「関係ないよ」と思われますが、そんなことはありません。仮に税金を納めすぎていた場合にも、5年間の時効は有効なんです。
納めすぎた税金を還付する際にも時効は有効!
ある市町で還付加算金未払いがあったというニュースがありました。電算システムのミスで未払いの還付金があったことが判明したのですが、未還付の対象者については過去5年間分のみが返還対象となるんです(毎日新聞 2014年2月16日付)。
このように税金の額を計算する側に間違いがあっても『時効5年』は適応されます。もしもミスが発覚したのが時効の5年間を超えていれば、いくらこちらに非が無くても還付は受けられないということです。
ビジネスパーソンの場合、基本的に会社が税金の計算をしてくれています。しかし何らかの手違いがあっても、納税者から還付の請求をしなければ還ってきません。しかも猶予は5年間。ビジネスパーソンであっても税金の金額、税率などを計算し、規程どおりに納めているのか、チェックすることも必要かもしれませんね。