品質管理エンジニアの仕事内容、やりがい、未経験からなるには
品質管理エンジニアとはどのような仕事なのでしょうか? 未経験の人にも分かりやすいよう、仕事内容からやりがい、厳しさ、未経験から転職するにはどうしたらいいか詳しく解説します。
品質管理エンジニアの主な仕事内容
品質管理エンジニアは、生産された製品の品質をチェックする仕事です。発注者の希望通りの品質に保たれているかを確認します。「お客様に提供する製品の品質を保証する役目」という性質上、製品の生産工程における責任者として大きな責任を担う職種です。企業によっては、発注者と品質に関するコミュニケーションを取る仕事を品質保証エンジニアと呼び、品質管理エンジニアと職種を分けることもあります。
具体的な仕事内容は、製品の品質をプロセスごとに検査し、「不良品が多い」、「製品の品質が不十分」などといった問題点が見つかった場合には、設計工程から生産工程までを見直し、担当者と打ち合わせを重ねながら製品の品質を改善させていきます。
製品の品質は、一般的にQC(Quality Controlの頭文字をとった略語)の七つ道具を用いて管理・分析を行います。具体的には、「パレート図(棒グラフおよび折れ線グラフ)」、「グラフ(統計グラフ)」、「ヒストグラム(柱状グラフ)」、「散布図」、「チェックシート」、「管理図」、「特性要因図」といった手法を用いて、製造現場におけるPDCAサイクルを回します。
業務を通じて経験を積むことで、海外の工場の立ち上げや、生産ラインで使用する機械の選定等といった、より重要な仕事を任されることもあります。
品質管理エンジニアの仕事のやりがい
・顧客の満足度がわかる
・製品の品質を決定づける
・改善の結果が数値で見える
品質管理エンジニアは、品質に関する最終チェックを行う役割を担うので、品質に関して妥協を許さず、検査から改善までの指揮を執ります。品質管理エンジニアの最終的な決断が製品の品質を決定づけますので、発注者やエンドユーザーとなるお客様の満足度を決める仕事ともいえます。厳しい目と行動で品質を追求することで、製品の信頼や企業の価値に貢献することはやりがいになります。
また、品質管理のために、時に他の部署を巻き込んで、生産ライン全体の改善も行います。改善活動の結果、実際に数値が改善されると大きな喜びを感じることができます。
自分にも他人にも厳しく仕事に向き合うことで、品質管理エンジニアはビジネスマンとして大きく成長できます。
仕事の厳しさ
・厳しさを持ち続けなければならない
・発注者からのクレーム対応をすることもある
・製品の品質を決定する重大な責任を担う
自分にも他人にも厳しくあることは簡単ではありません。製品の品質レベルを上げるため、高い意識を保ち続けなければならないことは、品質管理エンジニアという仕事の厳しさだといえるでしょう。また、品質保証エンジニアの仕事も兼ねる場合には発注者とコミュニケーションを取る必要があるので、クレーム対応をする可能性もあり、生産ラインの担当者と発注者との板挟みになることもあります。
そのような時に頼りになるのは自分自身の職務能力です。品質管理エンジニアとしてのスキルアップを図り、どのような状況下においても局面を打開する精神力を持ちながら、冷静、かつ的確な判断を下し、円滑なコミュニケーションを取れるような能力を身につけましょう。そうしていくうちに、仕事の厳しさがやりがいへと変化していきます。
活かせる経験・スキル・資格
【経験・知識・スキル】
・チームのマネジメント経験
・社内外の折衝経験
・ISO規格に関する知識
【資格】
・品質管理検定(QC検定)
・統計検定
・統計データ解析士
品質管理エンジニアは、生産ラインと発注者の仲立ちをする役割を担うので、販売職や個人・法人営業といった社内外との折衝の経験や、チームのマネジメント経験が仕事に役立ちます。また、製品の生産ラインでオペレーターとして働いていた経験がある人も同様です。品質管理エンジニアに必要不可欠な知識としては、ISO(International Organization for Standardization)規格が挙げられます。品質管理エンジニアは、特にISO9001(品質マネジメントシステムの国際規格)を取得する上で重要な職種のため、そういった知識を得ておくことも大切です。
一般的に、品質管理エンジニアに必須の資格はないといわれていますが、『品質管理(QC)検定』や『統計検定』、『統計データ解析士』といった実際の業務に役立つ知識を得るために資格を取得しておくことは有益です。品質管理エンジニアの仕事を想定し、資格取得を検討しておきましょう。
向いている人
品質管理エンジニアにとっての正義は、より高い品質の製品を生み出すことに尽きます。そこには妥協が許されず、製品や人と真摯に向き合わなければならないので、正義感の強い人は向いているといえます。また、課題や問題点を発見する力のある人や、論理的思考力のある人も同様です。加えて、品質管理エンジニアにはどのような場面でも冷静に対処する能力も求められるので、精神的な抑揚が少なく、冷静な判断のもと落ち着いて人と接する力のある人にも適性があります。
キャリアパス
品質管理部門内でキャリアを積んでいくことが一般的です。チームリーダー、マネージャー、部長と役職を上げていきます。また工場長を目指す場合もあります。工場長には50代以上の人が多く、20~30代で就任するケースはほとんどないことから、着々とキャリアを積んでいくことが必要な仕事だといえるでしょう。品質管理エンジニアの中には製品知識を活かして生産技術職に異動する人もいますが、その数はそれほど多くありません。
最近の動向
行政がメーカーに支援金を出す等、日本の生産業界の再建に向けての動きが活発になってきています。それに伴い、生産サイクルが短くなり、製品の品質向上を目指す動きも活発化しているので、品質管理エンジニアに対するニーズは高まっています。より品質の高い製品を製造して内需に貢献し、世界中で売れる製品を生み出すことによって、日本の経済を活性化する効果を期待できます。そういう意味では、品質管理エンジニアの仕事は、発注者と生産ラインに携わる人の枠を越え、日本だけでなく世界中に影響を与える可能性があるといえるでしょう。
未経験から品質管理エンジニアになるには?
生産工程のすべてに関わる知識と経験が必要になるため、品質管理エンジニアは未経験から目指すには難しい職種といえます。生産工程に携わりながら品質管理について学び、オペレーターを経て、品質管理エンジニアにキャリアップできる場合があるので、未経験から目指す人は段階を踏みながら目指しましょう。生産工程のオペレーター経験がある場合には、採用の際に優遇される可能性があります。入社試験の際には積極的にアピールし、ISOやQCの七つ道具に関する知識をあらかじめ身につけておくと効果的です。実務に活かせる経験が重視される傾向が強いので、事前に職務経歴を整理し、伝え漏れのないようにしましょう。
監修
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