Vol.191

デジタルマーケティングは航空宇宙工学と相性が良い!?フロムスクラッチにJAXA経験者や宇宙研究者が集う理由

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あの企業の開発環境を徹底調査!Hack the Team

エンジニアが働く上で気になる【開発環境】に焦点を当てた、チーム紹介コーナー。言語やツール類を紹介するだけではなく、チーム運営や開発を進める上での不文律など、ハード・ソフト面双方の「環境づくり」について深掘りしていく。

ビッグデータ解析が一般に広まってきたこともあり、デジタルマーケティングへの注目がいっそう高まっている中、フロムスクラッチが開発するマーケティングプラットフォーム『B→Dash』が好評を呼んでいる。

フロムスクラッチのマーケティングプラットフォーム『B→Dash』
フロムスクラッチのマーケティングプラットフォーム『B→Dash

このプロダクトの特徴は、他のデータ蓄積ツールや分析ツールと接続せずに、ワンプラットフォームでマーケティングデータの管理・統合・活用を実現している点。企業のデジタルマーケティングで課題になることの多い「あるある」を一挙に解消するプロダクトである。

その「あるある」とは、例えばこんなものだ。

・分析の基となる各種データが部門ごとに異なるデータベースで管理されている

・分析ツールを導入しても、データの統合がうまくできず部分最適で終わってしまう

・異なるフォーマットで収集・分析されたデータを見ても関連性を見出せず戦略を作れない

『B→Dash』はこれらの課題を解消するべく、各種データを容易に統合・管理する機能、それを一気通貫で分析する機能、さらに分析結果から分類された顧客群ごとに適したマーケティングシナリオを設計するサポートなどを提供している。

さらに、マーケティング施策を検討する際の仮説生成や一部業務の自動化を支援する人工知能も搭載。従来型の他社ツールとは一線を画した形でマーケティング施策を実現できるのだ。

この『B→Dash』を開発~運用するフロムスクラッチの開発チームでは、当然ながら高度な技術力が求められるため、ユニークな経歴のエンジニアも集まっているという。面白いのは航空宇宙工学を専攻していた”元宇宙開発研究者・エンジニア”が3人もいること。今回は、東京大学にて「航空宇宙工学」を専攻していた3人のエンジニアに、なぜフロムスクラッチに転職したのかを聞いた。

技術そのものではなく「思考のプロセス」が類似している

(写真左から)フロムスクラッチの渡辺典幸氏、井戸端洋彰氏、斉藤健史氏

(写真左から)フロムスクラッチの渡辺典幸氏、井戸端洋彰氏、斉藤健史氏

「デジタルマーケティングを成功させるには、膨大なデータの中から『意味のあるデータ』を抽出するところから始めなければなりません。しかし、何が重要なデータなのかはユーザーごとに異なります。そのため『B→Dash』の機能開発では、ユーザーそれぞれが持つ経営戦略に応えるためのメタ思考が求めらるのです。この点が、航空宇宙工学との共通点かもしれません」

こう説明するのは、2014年にフロムスクラッチに入社し、現在は開発統括マネージャーを務めるCTO・執行役員の井戸端洋彰氏。東京大学在籍時に航空宇宙工学科で学び、そこで人工衛星の開発に携わっていたこともある。

その後、大学院を経て大手コンサルティング企業のアクセンチュアに就職し、顧客企業がデジタルビジネスへシフトしていく潮流を察して「それを支援するサービスづくりがしたい」とフロムスクラッチへ転職。『B→Dash』開発の黎明期から携わってきた中で感じてきたことが、上記の発言につながっている。

「人工衛星のソフトウエア開発では、それこそ天文学的な数字と向き合って計算を繰り返すようなことも求められました。そこで鍛えられたゼロベースで物事を考える思考力が、デジタルマーケティングの世界でも活きるんだと思います」

井戸端氏の言うゼロベースの思考力が何より重視されることは、『B→Dash』の導入開発・サポートを行っているエンジニア斉藤健史氏の言葉からもうかがえる。

斉藤氏も東京大学~大学院時代に航空宇宙工学を専攻しており、その後博士としてJAXAの小惑星探査機『はやぶさ』プロジェクトでエンジン開発にも参加していた人物だ。

「ハードウエア開発ではさまざまな変数と向き合わなければなりませんし、宇宙開発にはステークホルダーも数多くいます。そんな中でプロダクトを開発していると、『最終的に実現すべきことは何か?』、『その上で今できることは何なのか?』を考える思考習慣が鍛えられるんです。これは、膨大なデータを駆使してマーケティング活動を行う時にも必要とされる能力だと思います」(斉藤氏)

斉藤氏は2016年にフロムスクラッチへ入社する前、コンサルティング企業のフューチャーアーキテクトでデータ解析コンサルティングに従事していた。その際、企業経営とマーケティング活動を直結させている企業が想像以上に少ないことに気付いたという。

その最大の理由が「ビジネスと業務の両方を理解して各種データを活用できる人が少ない」という課題だ。これを解消するという意味でも、さまざまなステークホルダーの考えを踏まえながらゴールに向かうことに慣れている斉藤氏の経験が活きているそう。

デジタルマーケティングと航空宇宙工学の共通点は、スキルではなく思考のプロセスにあるといえるだろう。

ゼロベースで物事を考える思考力を支える、もう一つの特性

『B→Dash』開発を初期からリードしてきた井戸端氏によると、思考面以外にも航空宇宙工学との接点があるという
『B→Dash』開発を初期からリードしてきた井戸端氏によると、思考面以外にも航空宇宙工学との接点があるという

さらにもう一つ、共通点を挙げるなら、それは必要な知識をすばやくキャッチアップしなければならないという点だろう。

『B→Dash』がユーザー企業の目論むさまざまなマーケティング施策をサポートする上で、ツールの技術的制約は極限まで減らさなければならないからだ。

このキャッチアップのすばやさを体現しているのが、2016年9月にフロムスクラッチに入社した渡辺典幸氏だ。

渡辺氏は井戸端氏と同じく東京大学の航空宇宙工学科を卒業後、自衛隊に入隊するという変わった経歴を持っている。

フロムスクラッチに入社するまでの仕事では、Webやテクノロジーに触れる機会は一度もなかったが、独学でRuby on Railsなどの開発プログラムを学んでいた。その知識・経験を活かし、現在は『B→Dash』の保守開発を担当している。

「学生時代は全く触ったことのない技術領域でも自ら調べながら習得しなければなりませんでしたから、新しい技術のキャッチアップは慣れっこだったというか。それに、自衛隊で鍛えられた『できるまでやる』というマインドも、今の仕事に役立っているように思います(笑)」(渡辺氏)

こういった思考特性をさらに活かすために、井戸端氏と渡辺氏は『B→Dash』が提供するマーケティングオートメ―ション機能を拡張するような新サービスの開発にも取り組んでいるという。

「航空宇宙工学に比べれば、Webサービスはロジックとコードさえ正しければキチンと機能するので楽なんです。それと、人工衛星開発の時に鍛えられたデバッグ力も、今の仕事で活きています。何か問題があっても『やればできる』と思えるタフさが、僕らの強みかもしれません」(井戸端氏)

ちなみに3人は、同じ学部出身だからスカウトされたわけではなく、それぞれが偶然フロムスクラッチに興味を持ち、転職を決めているという。この興味深い事実が、デジタルマーケティングと航空宇宙工学との相性の良さを証明しているといえよう。

この事実を違う視点で見れば、思考面でマッチングすれば、現時点でのスキルマッチがなくても『B→Dash』の開発~運営で活躍してもらえるということ。

「僕らはマーケティングテクノロジー領域での世界的なデファクトスタンダードとなるようなプラットフォームを作っていきたいと思っているので、社名にある通り『スクラッチ』で新しいモノを作りたいと考えているエンジニアを今後も集めていきたいと思っています」(井戸端氏)

取材・文/伊藤健吾 撮影/竹井俊晴

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