Vol.49

製造業からWeb業界に転身した僕が思う「異業種転職」の判断基準【えふしん】

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藤川真一(えふしん)FA装置メーカー、Web制作のベンチャーを経て、2006年にGMOペパボへ。ショッピングモールサービスにプロデューサーとして携わるかたわら、2007年からモバイル端末向けのTwitterウェブサービス型クライアント『モバツイ』の開発・運営を個人で開始。2010年、想創社を設立し、2012年4月30日まで代表取締役社長を務める。その後、想創社(version2)を設立しiPhoneアプリ『ShopCard.me』を開発。2014年8月1日からBASE(ベイス)株式会社のCTOに就任

もう15年ぐらい前、製造業の電気制御の技術者からWebのエンジニアに転職した後、たまたま見つけた転職相談サイトのキャリア診断に自分のキャリアを送ってみたことがあります。

その時の返事は、「異業種の転職が成功したのは珍しいですね」という返事でした。その意味はしばらく分からなかったが、自分が採用する側に回ってみて、その意味を初めて気が付くことになります。

最近、Web系の技術者への求人で、業界未経験者や異業種の方へのニーズが高まっているという記事を見ました。

>>過去2年で最もチャンス広がる「未経験・異業種」転職事情~人生のコネクティング・ザ・ドッツを成就させるには

この記事にも背景が分析されていますが、要因として、個人的に思うところとして、

・Web系の開発者の決定的な人材不足からの人材育成へのニーズ
・GitHubフローやCIによる開発技術と、人材育成環境の標準化
・Webビジネスの上場企業が増えたり、社会的責任が重くなったためミッション・クリティカルなシステムニーズの向上
・機械学習などの高い学力を兼ね備えた人材の要求

などは容易に想定できるところです。

優れた経験者は、大企業か新進気鋭のスタートアップに行ってしまうため、あらゆる会社において、ビジネスと人材育成とを連動させていくことは不可欠です。

業界のスピード感に慣れることが大切

自分が製造業からWebへ異業種転職をしたのは、もう15年ほど前の話なので、直接には参考にならないかもしれませんが、その時に起きた自分が扱う技術の変化は以下のとおりです。

・制御システムの構築から、Flash Action ScriptやJavaScriptによる時系列制御
・msecオーダーのリアルタイム制御から、データベースへの情報ストックに依存する画面制御
・顧客がB2Cに直結する商品開発、制御技術から情報技術へ

というのが大きな変更点でした。

制御システムは、センサなどの入力を見ながら、モータを回したり温度を上げてみて、そのフィードバックをセンサで見て、安定した状態を作るという一連のシステムです。FlashのAction Scriptをいじった時に、この時の経験が活きました。

動かすモノがモータからMovieClipと呼ばれるアニメーションのオブジェクトに変わっただけです。だから、個人的にはやっていることは何も変わらないなぁと思っていましたが、一般的には、こういうのに適応していくことを異業種転職と呼ぶのでしょう。

次にデータベースへの情報ストックについて。Webのシステムで一番重要なのは、たくさんの人がアクセスした時に必要なスケーラビリティです。ここで求められる知識がデータベース関連になります。

Webはステートレスと呼ばれる、状態を持たないことでたくさんのユーザーがアクセスできるというのが肝の考え方になります。が、連続的なユーザー体験を提供するために、必ずデータベースやそれに付随するキャッシュシステムが、都度、状態を維持しなくてはなりません。

この一見非効率なアーキテクチャが現在のWebシステムの主流の仕組みで、そのためRDBは、業務システムで、複雑なSQLを実行したり、データの一貫性を維持したりするためだけのものではなく、高速にデータを出し入れできる状態維持のストレージとしての側面が高くなっています。MySQLが今でも主流のRDBとして使われる理由はそこにあります。

そして、ここで大事だったのが、扱う技術が情報技術に変化するということは、開発に求められるスピード感が全く変わることでした。

制御技術は一度動けば、あとはシステムを維持することでその目的を果たせますが、情報技術ということは常に変化が求められます。まだ人間の思考をうまく制御する人工知能的なフィードバックループは確立されていませんから、定期的にWebサイトはリニューアルしますし、たくさんのアイデア、新しいサービスで、新しい思考やコミュニケーションの創造にチャレンジし続けています。

さらに、システムのスピードだけでなく、機能追加のスピードはどんなビジネス要件にも勝ります。大企業は、「すでにビジネスが確立している世界でどう継続的に成長するか」を追求するからこそたくさんの雇用が成立するのに対して、ベンチャーやスタートアップは、「ビジネスそのものがまだ未完成で、どう作っていくか」ということへのチャレンジになるからです。

また、上場するともなれば高い利益率で成長し続けなくてはなりません。成長モデルを維持するために、常に新しいビジネスモデルを模索することが求められます。

「カルチャー」と「技術の話題で盛り上がれるか」の共通点を見いだした転職を

話が少し仰々しくなってしまいましたね。

自分が転職した時はどうであったか? というと、こんなことは何も考えていませんでした。ここで書いたことは、あくまでもこの業界に来てから気が付いたことです。

ただ、もっとシンプルな部分で、新卒入社時から今も変わらず活きている考えは、以下に集約されます。

・納期は絶対という意識
・システムの不具合で人が死ぬかもしれないという部分に対する責任感
・新しい技術を面白がること

こういうシンプルな価値観で自分は動いているような気がします。そして今、籍を置いている会社で重要だと思うのは、それが正しい感覚であれば、どの会社に行っても、どういう技術を触っても活きると思います。

転職の時の最大の問題は、採用する側が、このような部分を面接だけで推し測るのが非常に難しいという部分です。

例えば、合コンや友だちと初めて会った時のことを想像してみてください。一番大切なのは、お互いの共通点を見出すところです。学校が同じだった、故郷が同じだった、趣味が同じだったなど、そこから話を深めていって、お互いを深く知っていきます。

冒頭に引用したエンジニアtypeの記事では、「スキルマッチよりもカルチャーマッチを求める傾向にある」と書いてありました。カルチャーが一番なのは間違いなくその通りですが、エンジニアにとっては、「カルチャー」に「スキル」が含まれているのが特徴だと思います。

つまり、エンジニア面接という名の“合コン”成立要件は、対象とする技術の話で盛り上がることができるか? ということに尽きるでしょう。

面接では、扱う技術分野が変わっても、継続的に成長できるか? その意欲は十分あるか? 負けないか? というのを見られると思います。具体的な方法論として、その会社が使っている技術を勉強しているとか、何かを作っているかというのは、共通点を探るためにすごく大きなポイントになります。

なお、僕が製造業から転職したのは、当時デジタルハリウッドに学生として通っていた時、講師として来ていた社長に誘われたのがきっかけでした。1時間もしゃべらないうちに、直感で誘ったようです。僕の技術レベルの裏付けは後から説明して安心してもらえましたが、今思うと「よく当時の僕を誘ったな」という印象です。

業界未経験だったにも関わらず、非常にありがたいチャンスをいただけたと今でも思います。

時代が違う部分は多々ありますので、そういうのが今でもあるのかは分かりません。でも、直感で可能性を感じ取れる天才的な方もこの業界には多々いらっしゃいますので、是非いろんな人との接点を持ってほしいなと思います。

もし、大きな会社から小さい会社に転職するのであれば、そこにあるたった一つの判断基準は、「この人なら信頼できるな」って人を見つけられるか否かだと思います。ですので、相手を知り、良好な関係性を生むことが良い転職の一つの方法論ではないかと思います。

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