航空自衛官から情報セキュリティのエキスパートへ。武田圭史教授に学ぶキャリアの切り拓き方【連載:匠たちの視点】
「プライバシー保護に関して言うと、今日本では一番弱い立場の人に立って保護をすべきという意見と、利便性と引き換えにある程度のリスクは許容しても構わないという意見がせめぎ合っている状況です。プライバシーに関する考え方は、個人の生き方や価値観に根ざしたものですから、万人に通用する正解はありません。セキュリティ対策についても同じことが言えます。すべての人に『正しさ』を押し付けるのではなく、必要とする人に必要な情報やノウハウが正しく届けられることが重要なんです」そう話すのは、慶應義塾大学環境情報学部で教鞭を取る武田圭史教授だ。武田教授は、インターネットの普及が本格化に始まった1990年代の後半、航空自衛隊から慶應大学大学院に進み、当時国内では類例がなかった侵入検知システムを独力で作り上げた経験を持つ。