キャリア Vol.1005

ERPのオンプレ→クラウドへのシフトがエンジニアのキャリアに与える影響は?業界注目ベンチャーの元SE社長に聞く

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経産省が指摘する『2025年の崖』まであと5年。2025年までに、既存システムの統合・仕分けをしなければ、年間最大12兆円の経済損失が生まれると言われており、ERP業界は今、大きな変革期を迎えている。オンプレ型からクラウド型への移行が進み、ERPの市場規模は年間10%ずつ拡大しているとも言われている。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が加速する中、全社横断型のERPを検討する企業も増えてきた。

クラウド型ERPが盛り上がりを見せている一方で、ERPエンジニアが不足しているのも事実。これまでは、仕様の決まった製品を導入することが多く、アドオン型の開発がメインのERPエンジニアは「キャリアパスが描きにくい」「スキルアップが難しい」とされてきた。

しかし、Oracle Corporationが提供するクラウド型ERP『NetSuite(ネットスイート)』導入実績国内No.1を誇るBlue Tiger Consulting(以下、ブルータイガーコンサルティング)の趙凡(ちょう・ぼん)さんは「クラウド型ERPの開発やコンサルティングに今携わることができれば、キャリアの選択肢を広げていきやすい時代になっている」とERPエンジニアの未来について話してくれた。

株式会社Blue Tiger Consulting 代表取締役 趙 凡
株式会社Blue Tiger Consulting
代表取締役 趙 凡(ちょう・ぼん)
中国大連理工大学機械学部卒業後、カシオ計算機株式会社(中国)で日本向けオフショア開発に3年間従事し、その後、富士通(中国)信息系統有限公司でプロジェクトマネジャーとして中国駐在日本企業のためのERPを複数導入。その後、IBM チャイナ・グローバル・デリバリーでのPMを経験後、来日。2008年より『NetSuite』の前身である『Oracle EBS』のコンサルタントとして従事。15年3月株式会社Blue Tiger Consultingを創業。オラクル認定ERPコンサルタントなどの資格を持つ

オンプレ型からクラウド型へ。ERPエンジニアは機械学習を学ぶ必要あり?

2020年以降のERP業界について、ブルータイガーコンサルティングの趙さんは次のように話す。

「ERPはオンプレ型からクラウド型へのシフトがより一層進むでしょう。5Gによってネット通信速度が向上し、ますますクラウド型ERPが導入しやすくなるからです。それに加えて、オンプレ型のERPパッケージは保守やエラー対応に人件費がかさみます。地震大国日本では、異なる拠点にバックアップサーバーを用意しなければならない点も、オンプレ型の弱点です。こういった理由から、クラウド型ERPへの切り替えは加速していくと見ています」

では、クラウド型ERPが主流になってくると、エンジニアが扱う技術にも変化が出てくるのだろうか。

「クラウドERPの場合、AIやIoTとの連携が進むのでGoogleの文字認識や通訳・翻訳機能、AWSの文字認識・音声認識機能がERPやアドオンのテンプレート上で利用できるようになります。すると、AIを使って経費の自動精算や入金書き込み、ユーザーデータの収集などもできるようになります」

これまでERPパッケージの世界は、ERP開発特有の技術を用いているため汎用性が低いと思われがちだった。しかしクラウド化が進むことで、機械学習やディープラーニングなど最先端のテクノロジーが必要になり、AIの力でユーザーの作業時間を劇的に短縮したり、高い精度でデータ分析できるソリューションが求められるようになっている。

ERP業界の先駆者として市場価値を高めるチャンスが到来

こう考えると、これまで「ERPパッケージ専用の特殊な言語しか扱えない」と捉えられてきたERPエンジニアのキャリアにも変化が出てきそうだ。

「確かにオンプレ型が主流の時代は、ERPエンジニアはキャリアの幅が狭くなると言われていました。なぜなら、扱う言語は各パッケージごとに特殊なものですし、以前はデータベースの管理だけ行うエンジニアやアプリケーションのエラーチェックだけを担当するエンジニアなど、役割が細分化されていたからです

株式会社Blue Tiger Consulting 代表取締役 趙 凡

しかし、「これからのERPエンジニアには、あらゆる可能性が開かれている」と趙さんは熱を込めて話す。

中でも注目しているのが、ERPコンサルタントやビジネスコンサルタントへの転身。

「先ほども申し上げた通り、AIやIoTが活用されるこれからのクラウドERPを扱うエンジニアには、機械学習や文字認識、画像認識など最先端の技術が必要になります。それに加えて、クライアントのニーズを汲み取るコミュニケーションスキルやさまざまな業界におけるクライアントの事業をよく理解することが求められている。

しかし、クラウド型ERPやそのアドオン開発のノウハウを持つエンジニアはまだまだ少ないのが現状です。だからこそ、今クラウド型ERPの知見とさまざまな業界に対応できる業務知識、この両方を備えることができれば、ERPコンサルタントやビジネスコンサルタントとして活躍する道も開けます」

また、クラウド型ERPの知識と導入スキルを深めれば、クラウドERPアーキテクトに転身するキャリアも見えてくる。趙さんは「業界でも先駆的な存在として、自分の市場価値を高められるはずだ」と力説した。

この改修は何のため? クライアントの顔が見えずに苦しんだSE時代

趙さんが代表を務めるブルータイガーコンサルティングのERPコンサルタント・ERPエンジニアは、全員が日商簿記2級以上の資格を持ち、充分な会計知識を備えている。さらに生産管理の国際資格CPIM(Certified in Production and Inventory Management)や物流管理士の資格などを取得した場合、奨励金も支給しているという。これは、どんなクライアントにも最適な提案ができるように、クライアントの業務知識を深く理解するためである。

趙さんがエンジニアに技術力以外の面でもスキルアップしてもらえるように投資をする背景には、SEとして“必死に働いた”自身の若手時代の経験がある。

「新卒で入社した会社では、大規模なシステム開発のいちメンバーとして、がむしゃらに働きました。その頃は、システム全体について知ることより、目の前の開発に没頭して少しでも技術力を上げようと思っていました」

しかし、クライアントの希望やニーズを直接知ることができない働き方は、だんだん趙さんに迷いを生じさせた。

「要件定義や詳細設計が私の手に渡るまでに、何人もの人を介さなければなりませんでした。だから、目の前にある詳細設計の目的が本当は何なのかは想像するしかないし、事実は全く分からない。『バグが出ました、直してください』と機械的に言われるばかりで、クライアントが何をしてほしいのか見えず、本当に苦しみました

株式会社Blue Tiger Consulting 代表取締役 趙 凡

その後、趙さんは努力を重ねてプロジェクトマネジャー、オラクル認定のERPコンサルタントへとステップアップし、今やオラクルのERP製品導入コンサルタントとして12年の経験を持つベテランとなった。

SE時代の苦しみがあるからこそ、2015年に創業したブルータイガーコンサルティングでは、ERPエンジニアにさまざまなキャリアパスを用意したいと考えた。

同社に入社すると、まず一年間は「SuiteScript」という独自の言語で『NetSuite』の開発に携わる。必要なのは、何かしらの言語で開発に携わった経験のみ。その後はプリセールスやERPコンサルタント、ビジネスコンサルタント、そしてクラウドERPアーキテクトとして活躍する道も開かれる。どの職種も技術力とクライアントの要望を汲み取る力、そしてコンサルティング力が身に付く仕事だ。

「当社のエンジニアには、お客さまが何を求めているのか分からず苦しむという過去の自分のような思いをさせたくありません。だから当社では、クライアントと直接コミュニケーションを取りながら仕事ができる環境づくりに力を入れています。また、クライアントの考えていることを直接知りたい、ユーザーの喜ぶ姿を間近で見たいというエンジニアにこそ、会計や生産管理、物流などの知識を深めてほしいですね」

自社開発組織を強化し、アジア進出を狙う

ブルータイガーコンサルティングでは2019年末に自社開発組織を立ち上げ、これからも社内の開発力を強化していく予定だ。

現在は、上海と大連に独自の開発チームを持ち、主にAIなどを用いた『NetSuite』に連携させるテンプレートソリューションを開発している。在庫管理を目的とした『楽々物流ソリューション』や『固定資産管理ソリューション』などのテンプレートサービスは、オラクル本体のセールスチームが自ら顧客に提案するほど、クオリティーの高さには定評がある。
一方、国内の自社開発組織では、日本企業の要望に応じた『NetSuite』の導入や、アドオン開発などを手掛ける。

「国内の自社開発チームは主に3つの組織で構成されています。まず一つは『NetSuite』を顧客に導入する際の開発に特化したチームです。二つ目は、iPhone、iPad、Android、AWSなど『NetSuite』以外の開発チーム。三つ目は、お客さまのニーズに合わせてアドオン開発をするチームです」

株式会社Blue Tiger Consulting 代表取締役 趙 凡

今後同社では自社で扱う『NetSuite』の多言語化を進めることも視野に入れている。まずは中国語、英語に対応し、「中国、台湾、香港、シンガポールといったアジア先進諸国への進出を狙う」と趙さんは意気込む。

「中国で医療系の基幹システムを開発するなど、『NetSuite』を用いた大規模システムのコンサルティングを手掛けたいと考えています。去年は上海に、今年は大連に子会社をつくるので、海外展開を積極的に行っていきたいですね」

目指すは5年後のJASDAQ上場。右肩上がりの成長を見せるERP市場を考えれば、同社の目標達成の実現度は高い。

グローバル規模での事業展開や、自社開発組織の立ち上げなど、新たな挑戦を次々に重ねる同社でERP開発に携わることができれば、最先端技術について学ぶ機会が得られるだけでなく、エンジニアの枠にとらわれない柔軟なキャリアも築いていけるだろう。

取材・文/石川香苗子 撮影/竹井俊晴 編集/川松敬規

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